一つに束ねられない……

始まりましたね、東京国際文芸フェスティバル! 公式、関連などなど、都内各地で、それこそ書店に限らず、さまざまなイベントが目白押しです。どれに行こう、こっちへ行ったらあっちへ行けない、といった嬉しい悲鳴も聞こえます。確かに、これだけの短時日に多くの作家が来日しイベントを行なっているわけですから、興味のある催しが重なるのは当然と言えば当然のこと。むしろ、こんな贅沢、地方在住で、なかなか東京へ行かれない方からすれば、まさに贅沢な悩みなのでしょう。

というわけで、昨晩のあたしは上の写真。紀伊國屋書店新宿南店で行なわれたトークイベント「一つに束ねられない、豊かなことばたち」でした。演者は温又柔さんに来日中のシャマン・ラポガンさん、そしてゲストに管啓次郎さんというお三方。シャマン・ラポガンさんの故郷、台湾の蘭嶼(ランユー)の話で盛り上がりました。

台湾人とは言っても、漢民族ではなくタオ族のシャマン・ラポガンさん。その立ち位置は日本語を母語として育った台湾人の温さんと通じるところもあり、そういう状況をこれまた複眼的な視点で捉えることのできる管さん。なんともバランスのよい、こういう機会でなければありえないような邂逅でした。

途中、シャマン・ラポガンさんの作品の邦訳を温さんと管さんが朗読する時間もあり(上の動画)、それを聞いていたシャマン・ラポガンさんが原文を自分が中国語で朗読するということになりました。これまた文芸フェスならではのこと。

シャマン・ラポガンさんが、思いの丈を少し述べてから(上の動画)

朗読が始まりました(上の動画:動画の音声がどれも小さくてスミマセン)。

せっかくなので、シャマン・ラポガンさんと管さんの本を購入してサインをいただきました(温さんには既にいただいていたので……)。『冷海深情』と『空の目』、それに『ハワイ、蘭嶼』です。

イベント後、温さんに「トークタイトルの「一つに束ねられない」は、一つに束ねてはいけない、という意味ですか?」と尋ねたら、温さんは「束ねてはいけないということはないと思う。異なる色の糸が一つに束ねられたらきれいな色に変わるように、一概に束ねることがいけないとは言えない」という答え。

文学から言葉、いろいろ考えさせられるイベントでした。