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今年の本屋大賞の翻訳書説部門で、藤井光さん訳の『タイガーズ・ワイフ』が第一位を獲得したそうです。新潮社のクレストですね。確かに書店店頭でも売れていると、書店員さんに聞きましたらか納得の第一位です。

それにしても藤井さん、この数年、精力的に作品を出されていますよね。あたしの勤務先だけでもこんな作品があります。

  

他社からも精力的に翻訳を出されていますから、いまや「藤井光訳海外文学フェア」が出来るほどではないでしょうか? そんんばフェアにあたらしい作品が明日加わります。明日配本でこんな本が出ます。

近未来を舞台にしたSF小説のような作品です。タイトルどおり、この世界の創造主である神様が死んでしまった後の世界を描いていますが、現代社会を鋭く風刺した作品になっています。なんというのでしょう、神様という重しがあることによって辛うじてバランスが取れている、あるいはいろいろな矛盾に塞がされている今の世の中から、神様という重しが外れてしまったらどうなってしまうのか、という視点で構成されるストーリー群です。

個人的には、創造主という存在を持たない日本人には、そもそもの物語の設定自体が想像の範囲外かもしれません。ただ、強いて言うならば、まだ現人神と信じられていた日本の天皇が突然廃止、廃絶させられたら日本という国はどうなってしまうのか、という感じで置き換えてみると少しは理解できる気もします。もちろん昨今の若い世代にはこの喩えもピンと来ないのでしょうが、ある一定年齢以上の人であれば、なんとなく感じ取ってもらえるのではないでしょうか?

それにしても、藤井さん、どうしてこういろいろなタイプの作品を見つけてくるのでしょう?