朝日新聞の記事です。今年の大河ドラマの主人公・真田幸村がゲームソフトなどを中心にイケメンに描かれていることを伝えています。
この問題というか現象、別に幸村に限りませんよね? 花の慶次でしたっけ、その他の戦国武将も軒並みイケメンになっているゲームソフトがありますし、海を越えて三国志の英雄たちも。
ゲームだけでなく、学習漫画のようなものでも、その表紙を見るとイケメンとまでは行かなくても、かなりソフトな、劇画タッチを抑えたイラストになっているのがこの十数年の傾向のようです。
これに対して眉をひそめる方もいるでしょうね。あたしもどちらかと言えばそうです。あたしの場合、子供のころに見たテレビドラマの「暴れん坊将軍」の松平健、あの颯爽とした若々しい吉宗像と、実際に吉宗が将軍になった年齢はもう中年だったというギャップを知って、幼心にショックを受けたものです。
なので、こういったイケメン化は反対だったのです。曰く、こういうので歴史を学んで誤った知識を植えつけられたら困ると。でも、この手のゲームをやっている人って、たぶん実際の歴史との違いってそれなりにわかっているのですよね? 実際の人物がこんなにイケメンであるなんて本気で信じている人はいないはずです。
ただ、学習漫画の方は微妙かな? あれはそれなりにきちんとした時代考証を経て作られているはずなので、あまり絵がきれいだと子供たちに悪影響が出るかもしれません。
さて、あたしも反対論者だったと書きましたが、いまは若干肯定派です。なぜなら、これは先の暴れん坊将軍とは別の幼少期の体験に由来する話ですが……
子供のころのわが家には、子供向けの偉人伝のような本、全集でしたでしょうか、それが書架に置いてありました。あたしが子供のころですから、そこで取り上げられているのはヘレン・ケラー、ベートーベン、シュヴァイツァーといった顔ぶれ。当時の本ですから、表紙にはそれぞれの顔がイラストで描かれていました。
そのイラスト、晩年の、それもそれなりに劇画タッチで描かれているものですから、子供にはかなり怖い人相です。正直なところ、あたしは子供のころ、それらの偉人たちが睨みつけてくるような気がして、それらの本を直視できませんでした。アンネ・フランクだって、よく見かけるあの写真、アンネは笑っているのですが、幼い子には怖い印象を与える写真ではありませんか。少なくともあたしは怖かったです。
そういったトラウマほどではないですが、体験をしてきたあたしとしては、近頃の親しみやすいイラストになった偉人伝や歴史漫画は、案外よいものではないか、という考えに傾きつつあります。さすがにゲームのイケメンキャラはやりすぎだと思いますが(笑)。