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今朝の朝日新聞の紙面です。

みんなのたあ坊の菜根譚 新装版』の広告です。『菜根譚』といえば中国の古典。『論語』や『老子』『孫子』といった古典ほど著名な作品ではないかもしれませんが、人生訓として根強い人気を誇るものです。この手の名言、箴言集って、なんだかんだと言って、手を変え品を変えてっずーっと売れてますね。悩める人が多いのでしょうか?

それがこのたびは「新装版」となって登場です。上で「手を変え品を変え」と書きましたが、時代の空気や人々の気質に合わせどう変えていくのか、そこが長く売れる秘訣なのだと思います。イラストをふんだんに加えたり、1ページに大きな文字で1行か2行しか書いていないようなレイアウトにしたり、もうアイデアは出尽くしたのではないかと思うと、また別なタイプが出てきますからすごいものです。

今回の「新装版」は英語と中国語を加えたのが売りのようですね。なぜ日本人向けの名言集に英語訳と中国語訳が付くのか、あたしのような凡人にはその意味がわかりません。『菜根譚』の気に入った一節を英語で言ってみたいと思う人がそんなにたくさんいるのでしょうか? あるいは出版社としては英語圏の人にも売ろうとしているのでしょうか?

まあ、この国際化時代ですから百歩譲って英語訳が付いているのは理解するとして、問題は中国語訳です。これも世界を席巻する中国経済を考慮してということなのでしょうか? 確かにこれからの時代、英語が国際語なら中国語だって十分国際語と言えるかもしれません。

ただ、考えてみますと『菜根譚』って中国古典ですからもともと中国語で書かれているわけですよね。もちろん古典中国語、日本人ならいわゆる漢文ですから現代中国語とは異なりますけど、それでも本来中国語だったものを日本語に訳し、さらにまた中国語に訳すなんて……

たとえて言えば、『源氏物語』を英語に訳し、その英語訳からまた日本語に訳す、といったところでしょうか? 日本人だったら『源氏物語』を原文で読める、というわけではないので、だからこそ谷崎をはじめ多くの人が現代語訳を試みているわけですから、『菜根譚』だって原文のまま読める中国人は多くないと思います。現代中国語訳は便利だとは思います。

でも、それを言うなら、中国でも古典の現代語訳は多数出ています。『論語』の現代語訳だけでもいくつもあるでしょうし、有名な中国古典は軒並み現代語訳されています。となると、この『菜根譚』の中国語訳って誰のためのものでしょうか? これで中国語を勉強するとは思えませんし、中国に売り込むとも考えられませんし……

うーん、ちょっとわかりません。

上の写真も今朝の朝日新聞の広告。雑誌の広告ですね。雑誌名や特集のタイトルを見ればわかるはずなのに、あたしメイン特集「今すぐホオジロ類に会いに行こう」を見て、「ホオジロザメって、そんなに種類があるのかしら?」と思ってしまいました。だって「類」って書いてあるのですから、少なくとも数種類はいるんだろうなと思ってしまったのです。