グランドオープンは19日だそうですが、本日、業界関係者向けのプレオープンということで、渋谷の「HMV&BOOKS」へ行って来ました。渋谷モディの5階から7階までの3フロアです。
はっきり言います。最初はHMVですから、CDショップが始めた書店と言うことで、若者向けの、いま流行りのセレクトショップになっているんだろうな、本は主役じゃないんだろうな、という気持ちでいました。が、その予想は思いっきり裏切られました。もちろん、よい意味で、です。
確かにセレクトショップと言ってしまえば、そういうカテゴリーに分類される書店なのかもしれません。でも、いわゆるセレクトショップが、「特に何か目的があるわけではなく、フラッと入って棚を眺めると新しい発見がある」というコンセプトで、特定の本を探したい客にとって実は不親切な作りになっているのと異なり、このお店は比較的オーソドックスな書棚のゾーニングになっています。(セレクトショップを非難したり否定しているわけではありませんので、念のため!)
とはいえ、既存の書店のような感じなのかと言われればそうではなく、それなりにコンセプトや見せ方にこだわった棚構成に仕上がっています。たとえば、人文書の棚では、単行本も文庫も新書、一緒に並んでいます。ある哲学思想や哲学者でひとまとまりにしているので、眺めていてとても刺激的です。これが一般的な書店ですと、プラトンの翻訳は岩波文庫のコーナー、プラトンの概説書は人文書コーナーと分かれているところ、このお店では一緒に並んでいるという寸法。
文芸書も、世界を旅するというテーマで、地域・国ごとには分かれていますが、海外文学だけを並べているのではなく、ここがHMVらしいとも言えますが、その国を旅しているような気になれる音楽CDや映画のDVDも一書に棚に並んでいるのです。(ここに、もう少し語学書なんかも揃えてみたら如何かな?)
という感じで、大きなジャンル分けは一般的な書店のスタイルを踏襲しつつ、個々の棚ではHMVらしいメディアミックス(雑貨も目障りにならない程度に棚にうまく収まっています)な並べ方をしていて、これまでの書店とセレクト型書店の「いいとこ取り」ができていると感じました。
うーん、これを維持管理していくのは大変? という危惧も抱きますが、スタッフは書店経験の豊富な方が揃っています。いや、はっきり言ってしまうと、これまで他の書店で面識のあった方があちらにもこちらにも、という具合。教のプレオープンに来ていた出版社の人間も、「はじめまして」という挨拶よりは「お久しぶりです」という言葉を交わしている方が多かったのではないでしょうか?
で、あたしなのですが、もちろん知っている方も何人かいましたので、久々の邂逅を楽しみましたが、それ以上に、こちらは初めてだと思って挨拶をしたのに、「以前、某某書店で働いていまして、その時からナンシーさんのことは知っていました」と返されることの多いこと! 申し訳ありません。あたし、まるっきり覚えていません。ゴメンナサイ。
でも、どうしてそんなによく覚えているんですか? あたしって、それほど業界の有名人というわけではないはずなのですが……
閑話休題。
HMV&BOOKSですが、上に書いたように、フツーに本を探しに来る人でも、それほど迷うことなく目的の本を探せると思いますし、特に探している本がない方でも一巡りすればいろいろ発見があって楽しめると思います。そういう意味では間口の広い書店だと言えます。若い人だけでなく、年配の方でも全然オーケーな書店だと思いました。
ただ問題は、どうしてもHMVという冠から来る先入観、それとモディというビルが若い人向けという点でしょうか? もちろん大人を意識したビルを目指しているようですが、極端な比較かもしれませんが、東急百貨店とか三越、高島屋などに行くようなおじさま、おばさまが気軽に入ってくるようなビルではないでしょう? このあたり、HMV&BOOKSだけでなく、その他の各テナント、そしてモディ自体がどれだけ発信力が強いか、そこにかかっているのではないでしょうか?
なにはともあれ、一度行ってみると面白いと思います。