BOOK EXPO、反省しきり?

13日の金曜日。既に書いていますように、大阪のグランフロントで「BOOK EXPO 2015」が行なわれました。東京でやっている「書店大商談会」の関西版ということです。東京は今年で三年参加しまして、売り上げ(受注)という面ではまだまだですが、それでもふだんなかなか訪問できない書店との接点が持てるということで、目に見えない効果がきっと上がっているはず、と思っています。

となれば、東京以上に、決まった書店以外には顔を出せていない大阪ならもっと効果が上がるはず、ということで今年初参加となりました。BOXセットを中心に、下の写真のような感じで書店の方をお待ちしておりました。

全体の感じから言いますと、東京と異なり、児童書とコミックは部屋が完全に異なり、われわれがブースを出していた会場は一般(というのも、真面目に考えると定義が難しい?)の出版社が上のようなブースを出していました。並びは出版社名の五十音順ですが、そうなると「あ行」とか「わ行」で始まる出版社は毎年端の方になってしまうので、毎年一列ずつずれていくそうです。ただ、出入り口が左右の端に近いところにあるので、会場全体の中心部が一等地というわけでもないようですね。

で、見ていますと、来場された書店の方、お目当ては実用、趣味、資格といった出版社のようで、そういう出版社のブースが人気で、入れ替わり立ち替わり書店の方がやってきていました。書店の方も、そういうジャンル担当の方が多いのかな、そう感じました。そんな中、あたしの勤務先のブースは地味というか、違和感というか、浮いた感じがしていて……。いや、店番(ブース番)をしているあたしに、人を引きつける魅力が足りないから、ちょっと閑散とした感は否めませんでした(涙)。

準備などを含めると9時すぎから会場入りし、午後6時までの長丁場(?)なので、そんな他社のブースと自社のブースを見比べていて、いろいろ考えるところがありました。そんなことを反省も込めてつらつら書いてみます。

まず、関西という立地を考えると、もう少し地元を意識した書籍を並べればよかったのか? これが難しいところです。たぶん、相当有名な方でない限り、書店の方も著者が関西の人なのか否か、知らないですよね? 特にあたしの勤務先の場合、著者と言うよりは訳者ですから、それではますます伝わらないでしょう。

  

それでも『海洋堂創世記』『音楽祭の戦後史 結社とサロンをめぐる物語』『世界一のジェラートをつくる』といった大阪都関係の深い書籍を、もっとアピールしたり前面に押し出したりしてもよかったのかな、そう思いました。これらはいずれも大阪の本屋さんにはずっと並べていてもらいたい本です。

しかし、これらももちろん胸を張って世に送り出した出版物ではありますが、あたしの勤務先らしい出版物なのかと言われると、ちょっと微妙です。先に趣味や資格の出版社ブースが人気と書きましたが、やはり見ていると「定番」のものに人気が集まっているようです。そして趣味・実用で言えば、いま流行っているものとなりますでしょうか?

やはり定番か? どんな本屋でもこれは並べておかないと、という商品をまずはアピールすべきなのか?

 

そうなると、今なら『ネオ・チャイナ』『ビオディナミ・ワイン 35のQ&A』なんてところは売れているし、是非並べておいてもらいたい書籍ではあります。が、すぐ上で書いた「これは並べておかないと」というのは、こういうことではないのではないか、という気もしてきました。ならば、何を並べるべきか? 会場でぼんやりとあたしなりに考えて出した結論はこれです。

 

何はなくとも、まずは『ライ麦畑でつかまえて』と『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を置いてもらうべきではないか? どんなに小さな書店であろうと、これは決して外せない本となったら、やはりこれに尽きます。「いま流行っている」どころの騒ぎではありません。ずーっと流行っているのですから。趣味・実用ジャンルでは毎年のように流行するものがあり、本もカラフルなので、どうしてもそちらに目を奪われがちですが、長い年月を通じてこれほど売れているものというのも、日本の出版界、そうあるものではないでしょう。この二点の注文書を、どーんと置いておくべきだったか、そんなことも考えていました。

あえて言い訳をするならば、今回展示していたBOXフェアは、中小の書店でもあたしの勤務先の本を試してもらえる、試してもらいやすいようにという考えからスタートした企画です。今回のBOOK EXPOにはもちろん紀伊國屋書店、ジュンク堂書店といった大型店の方も多数見えていましたが、やはりふだん訪問できない街の書店の方にもっと寄ってほしいと思ったので、こういった商材を提案することにしたわけです。

その成果はあったのかと問われると、申し訳ありません、と頭を下げるしかないのですが、それでもあたしが行ったことのない書店の方が幾人も立ち寄って注文書を持って行ってくれました。立ち話程度に足を止めてくださった方も含めれば10軒以上はありました。「なんだ、一日ブースを出して、そんなものか」と突っ込まれたら返す言葉もありません。それに、注文書を持って帰ってくださった書店のうち実際に後からでも注文をくれるのが何軒あるのか? しかし、数軒でも注文をくれたり、あるいは別のかたちで試してくださるのであれば御の字です。結果が出ないとダメでしょうが、もし出れば、口コミで関西の書店に伝わり、「こんどはうちでも」という書店が一軒でも増えてくれれば、そう思います。

それにしても、会場を見ていると、4名、5名で来ている出版社も多数ありました。ただ、話しているのを聞いていると関西弁が多く、どうやら関西の出版社だったり、関西に支社や事務所があって日常的に営業回りもしているようなところが多いみたいです。馴染みの書店員さんがたまたまうちのブースに来て話してくれたところでは、「しょっちゅう店に来てくれているところばっかりだから、できるだけふだん会えない、来てくれない出版社のブースを回る」とのこと。うちは、あたし一人だったので、ほとんどブースを空けることもできず、トイレにも行けずじまい、いや行きたくならなかったからよかったのですが、そんな状態でしたが、費用対効果を考えれば、これで十分だったと思います。むしろ、もっと見目麗しい人を派遣すべきだったでしょうか?