ネクタイを買うべきだったのか?~ニキ・ド・サンファル展~

六本木の、いや乃木坂46ファンとしては乃木坂のと言いたいのですが、とにかく国立新美術館でやっている「ニキ・ド・サンファル展」を見てきました。金曜なのでナイト・ミュージアムですが、思いのほか観客が少ないのにビックリしました。

うーん、ニキ・ド・サンファルって知らないか、知られていないか……

それじゃ仕方ないですよね。かく言うあたしだって全然知りませんでしたから。

とりあえず展覧会の公式サイトを見ると、銃を構えた女性の写真が飛び込んできますが、彼女がニキ・ド・サンファルです。が、この写真、かなりレアな一瞬を切り取った感じです。会場に貼られている彼女の写真、あるいは会場で上映されていた、銃を構え撃っている映像などの彼女はもっとフツーの人です。一見するととても銃を手にするような女性には見えません。おしとやか、とまでは言えないかも知れませんが、そこそこの素敵な方、好みは分かれるかも知れませんが、そこそこの美人だとも思います。

が、会場に入って作品を見ると、またもやその印象ガラッと変わります。「えっ、この人がこんな作品を作ったの?」という驚きです。公式サイトの「見どころ」ページを見ていただければ納得していただけるのでは内でしょうか? こういう色遣い、作品、見たことあるよね、という人もいるかと思いますが、似ているようでどれとも似ていない、なんとも言えない作品群ですが、一週間の仕事を終えた週末に非常に大きなパワーをもらったような感じです。

とりあえず最初のコーナー「アンファン・テリブル」では「大聖堂」などに反抗精神を感じますが、数々のドラゴンにはかわいらしさも感じます。ついで「女たちという問題」では雰囲気がガラッと変わって、「赤い魔女」と「白い女神」の対比がなかなかよかったです。もう解体されて写真のみの展示でしたが、「ホーン」は女性の胎内に入っていくという大がかりな作品ですが、日本の寺院などにもある胎内巡りに通じるものがあるのかないのか、非常に興味深かったです。「あるカップル」コーナーは、ほのぼのとしたものが若干ですが感じられます。

さて「ニキとヨーコ」では、このニキの作品を収集し、彼女とも親交のあった日本人・増田静江との交流を中心とした展示です。実現はしなかったわけですが、「ニキ美術館のための模型」を見ると、これが実際に建っているところを見たくなります。そして「精神世界へ」では展示されている「ブッダ」の撮影OKということで、下のようにパチリ!

この作品、背後に回って斜め後ろから眺めたときのブッダの背中に哀愁を感じました。後ろの方に写っている「髑髏」もなかなかチャーミングな作品でした。そして最後の「タロット・ガーデン」。タロットカードは持ってもいないですし、占ってもらったこともありませんが、いかにもニキっぽいなあというデザインが並んでいました。このガーデンは実際にイタリアのトスカーナにあるのですよね。行ってみたいです。ちょっとグエル公園っぽい気もしましたが、いかがですか?

そして、最後に展示されていたのがこちら!

「翼を広げたフクロウの椅子」です。座り心地はどうなのでしょう?

という、初めてのニキ・ド・サンファル体験でしたが、終始圧倒されっぱなしでした。こんな作家がいたのか、という驚きでした。素直に「よいものを見た」と思えました。そう思えば思うほど、もっと多くの人が見に来ればよいのに、と感じます。那須にあったニキ美術館が閉館してしまっているので、こうして見られるチャンスもそうそうあることではないと思うので。

さて、この展覧会のショップで彼女の作品をあしらったネクタイが二点、売られていました。想像できるようになかなかヴィヴィッドな、サイケな柄でした。

が、なんと一つは17000円ほど。もう一方に至っては30000円超え! これではと手も手が出ません。それに、あたしが気に入った作品がデザインされていたわけでも亡かったので諦めましたが、実は帰宅した今も、「うーん、買っておくべきだったか」と思い悩んでいるあたしです(汗)。