THE AWAKENING

WOWOWで放送されたゴシック・ホラー「アウェイクニング」を視聴。やはりイギリスというのはこういう雰囲気が合いますね。

さて、ストーリーです。舞台は20世紀初めのイギリス。主人公のフローレンスは霊などの超常現象のインチキを暴く作家。つまりは科学的な考え方をする女性ということのようです。そんな彼女の元に、郊外の全寮制男子校の教師が、学校に幽霊が出るので調べて欲しいと依頼に来ます。そもそも幽霊などの存在を信じていない彼女は最初は断わるつもりでしたが、証拠とおぼしき写真を見せられ、結局調査に赴くことに。

その学校は、かつては資産家の屋敷だったもので、そこで男のが殺されるという事件があり、その男の子の幽霊が出ると噂されています。もちろんフローレンスはそんなことは信じず、生徒の誰かがいたずらをしているのだと推理し、いろいろな器具を校内に設置して、いたずらの証拠を見つけ、犯人を捕まえようとします。

という感じで進む前半。果たして誰か真犯人がいるのか、それとも本当に幽霊がいるのか、そこがなんとなく曖昧なまま、調査依頼に来た男性教師とフローレンスとのちょっとしたロマンスも絡め、話は進んでいきます。フローレンスがやってきてしばらくすると、学校が休暇になり生徒たちは一人を除いて皆自宅へ帰っていきます。学校に残るのはくだんの男性教師、寮母のローデ、自宅へ帰らず寮に残った生徒のトム。おかしなことがそれでも起こるので、フローレンスはトムの仕業と思い込みますが、銃を持った男性の姿を目撃したことから、しかしその男が写真に写っていなかったことで、封印していた自分の佳子を想いだしてきます。そしてストーリーは急転直下、事の真相が明かされます。

では、ここからネタバレ。この高校、元は金持ちの屋敷だったと書きましたが、実はフローレンスが生まれ育った屋敷です。住んでいた金持ちというのはフローレンス一家のことだったのです。しかし、父親が乳母と浮気をして男の子が生まれます。たぶん最初のうち、妻は乳母の子供が夫の浮気でできた子供だとは思いもしなかったのでしょうが、なにかのきっかけでそれを知ってしまい夫と大げんか。激昂した夫は銃を手に、ついに妻を撃ち殺してしまいます。それを見ていた幼いフローレンスも銃を持った父に追いかけられ、屋敷内を逃げ回ります。

隠し物置に隠れたところ、同じ物置の中に、たまたま遊んでいたのか浮気でできた男の子もいました。幼いフローレンスは、彼が腹違いの兄弟だと知らずに、幼なじみとして仲良くその屋敷で育ったようです。そんな二人が隠れていたところ、オルゴールの音が流れしまい、父親に隠れている場所が見つかってしまいます。「そこに隠れているのか」と銃を放つ父。次の瞬間、旨から血を流し、隠し物置の扉が開いて倒れ出てきたのは男の子の方でした。息子を撃ち殺してしまったことにショックを受けた父親は自分も銃で自殺。フローレンスはその後、幼女にもらわれていき、幼いころのショッキングなこの事件を記憶から消し去って生きてきたのです。

そして、寮母のローデが実は父の浮気相手であり、幼いフローレンスを可愛がってくれていた乳母だったことを思い出します。浮気は浮気として、乳母としてのローデは自分の息子と仕える主人の娘フローレンスを可愛がっていたようです。そして一人残った生徒のトムが、父親に殺された息子の幽霊だったのです。そしてトムの姿はローデとフローレンスにしか見えていなかったという次第。言われてみれば、他の生徒や教師はトムに気づいていなかったかしら?

ローデは一人ぼっちで彷徨っている息子トムに友達を作ってあげたかったと共に、息子を失い、娘のように可愛がっていたフローレンスとも引き離され、やはり抜け殻のようにその後の人生を生きてきたようです。そしてフローレンスを呼び戻し、記憶を呼び覚まして、幼いころのように、トムの友達にしようと図ったみたいです。結局、フローレンスはすべての記憶を取り戻し、トムは消え、ローデはフローレンスを道連れに服毒自殺を遂げます。フローレンスは間一髪、トムが解毒剤を飲ませてくれたので一命を取り留め、そしてジ・エンド。

ちょっと悲しい物語ですね。イギリスのちょっと昔を舞台にした、このようなゴシック・ホラーというのは、だいたいこういった悲しい物語が多い気がします。