女の子だけがかかる呪い

WOWOWで放送された「劇場版 零」を視ました。元はゲームだそうですが、ゲームの方を知らないので、ゲームと比べてどうなのかということはわかりません。

 

で、ストーリーです。舞台は田舎というか地方都市の郊外、森の中にあるミッション系の全寮制女子高校です。クラスにあやという美少女がいるのですが、ある日突然自室に籠もり出てこなくなります。それ以来、クラスメートの女子が一人、また一人と失踪してしまい、クラスメートはあやの呪いだと噂し合います。

そういう噂が流れるには原因があって、この女子校には言い伝えがあり、それはかつて好き合っていた女の子同士が大人に引き裂かれそうになり心中事件を起こし、一人は死んだのですが、もう一人は生き残ってしまったという事件で、それ以来、死んでしまった少女の幽霊がこの町を彷徨し、女の子に呪いをかけ続けている、というものです。そして、好きな女の子の写真に、夜中の12時にキスをするとその呪いにかかってしまうというものです。

で、失踪した少女たちは全員あやの写真にキスをして、その後失踪していることから、部屋に引き籠もっているあやが密かに呪いをかけているのだという噂が広がったのです。が、クラスメートの一人、みちが部屋から出てきたあやと話をすると、その写真はあやのものではないと言います。あやそっくりの写真の少女は誰なのか? そして失踪した少女たちの行方は、という謎をはらんで後半へ突入です。

まずは失踪した少女たちの水死体が相次いで見つかります。ここからは一気にエンディングへ行ってしまうのですが、つまりは中村ゆり扮するシスターの犯行だったというのがオチ。なんでシスターがそんなことをしたかというと、彼女には知的障害活身体障害の弟がいるのですが、彼が毎日のように学園の貯水池のようなところへ花を投げ込んでいて、底に少女の死体が沈められているのに気づきます。この姉シスターはてっきり弟が犯した殺人だと思い込み、貯水池へ近づこうとする少女たちを殺していたというわけ。

なんで少女たちが貯水池に近づいたかと言えば、ここはやはり呪いなんでしょうね、貯水池に沈められた少女の霊に呼ばれていたからでしょう。たぶん、人知れずここに沈められ供養もしてもらえていないため、誰かに救い出して欲しかったのだと思います。なんか、ちょっと哀れです。

この少女があやとそっくりなのも最後に謎解きがあります。かつて一人が死に、もう一人生き残ったという心中事件、生き残ったのが園長シスターだったのです。園長はその後死んでしまった少女の霊に苦しめられ、誰かを生け贄として差し出せば救われると思い込み、幼いあやとその双子の姉を学園に引き取り、姉の方を貯水池に突き落として殺したのです。それを目の前で視ていたあやも一連の事件の中で過去の忌まわしい記憶を取り戻し、最後はあやと再び巡り会った姉もようやく成仏します。

結局、呪いはあったようですが、現実に起こっていたのは生身の人間による殺人でした。まあ、この手のホラーは多かれ少なかれそんなオチになるのが常道ですが。

さて、本作はどんな人が見るのでしょう? 原作となったゲームファンは、たぶんブーイングの嵐ではないでしょうか? だとすると美少女好きな男子が視るのか? それとも百合的なストーリーに憧れる女子が視るのか? 人里離れた全寮制女子高校が舞台というのは、ちょっとそそるものがあるのは確かです。それに出てくる少女たちもなかなかカワイイ女優さんが多かったです。全員がとは言いませんが、数年後には映画やテレビドラマでよく見かけるような女優さんになっているのではないでしょうか?

が、しかし、主演の中条あやみがいいですね。少女たちの中でひときわ目立つ神々しさ。前半は呪いの主人公としての存在ですが、その非生物的な魅力というのでしょうか、いわゆる「この世のものとは思えない」美しさがあります。後半の謎解きをしていく展開では、芯の強い血の通った女のを好演していると思います。ハーフだそうですが、いわゆる「ザ・美少女」という感じです。実は以前視た「渇き。」も、主演の女の子が美少女という触れ込みでしたが、演じた小松菜奈にはそれほど美少女を感じなかったので、本作はどうなのだろうと思っていたのですが、こちらはアタリでした。(小松菜奈も「渇き。」では「美少女」ではなく「魔性の少女」という設定でしたっけ?)

あと、弟想いが昂じておかしくなってしまう犯人のシスターを演じた中村ゆりもかわいくて好きな女優さんです。