50代、60代に

昨日の研修会のまとめと感想。まずはヤングアダルト出版会と出版広告研究会の勉強会から。

出広研は地方紙の方々ですから、ほぼ各県に一社くらいで四十数名いらっしゃいます。こちらYA出版会は20社。これだけの大人数では勉強会になりませんので、4グループに分かれてのグループ討論となりました。あたしが参加したグループは「50代、60代の人にいかにして本に親しんでもらうか」というテーマでした。

最初、このテーマを聞いた時、あたしは「そうか、50代、60代と言えばYA世代のおじいちゃん、おばあちゃん。この人たちが孫へ本を選ぶ時にどのようにサポートできるかを話し合うのか」と考えていました。が、そうではなく純粋に50代、60代からそれ以上の方に本を読んでもらうためには、というのがテーマでした。

グループ討論で出た意見をまとめると、これまで読書の習慣がなかった50代、60代はいまさら本を読むようにはならないだろう、可能性としてはかなり低いと思われる。むしろ、以前は読んでいた人に再び読書に親しんでもらうには何ができるかを考えるべきでは、というものでした。

そのための方法として、デパートやショッピングモールに入っている書店などだったら、年配の方向けのポイントを付与するなどして、購買意欲を高めるのはどうだろうか、という意見が出ました。確かに、ニュースでも懐が暖かいと言われる高齢者の方であれば、こういう方法は購入率を上げる手段として有効かと思います。ただ、中には経済的に苦しい方もいらっしゃるでしょうし、図書館の取り組みも何かしら考えないとならないでしょう。

いずれにせよ、東京にいるとわかりませんが、地方の場合、本屋にしろ図書館にしろ、どの程度充実しているのでしょうか? 東京の場合、ほぼ大多数の人が片道平均一時間ほどの通勤を強いられていますが、それが逆に貴重な読書時間になっているのも事実です。昨今は音楽プレーヤーやケータイ、スマホに押され、電車の中で本を読んでいる人が極端に減りましたが、それでもそれなりの数の人が本を読んでいます。でも、地方の場合、それほど長い通勤時間はありませんし、そもそも電車で通勤している人が多いようなので、読書などできるはずありません。となると、都会の人が本をよく読む、つまり本をよく買う、だから都会に本屋が多い、というのもむべなるかなです。

ところで、その一方で思ったのですが、本を読む習慣がない50代、60代は当然のことながら家には本などほとんどないのでしょう。となると、その子供はどうなのでしょう? もういい歳でしょうから、親元を離れて暮らしている、かなりの確率で所帯を持ち子供がいるのではないでしょうか? 親に読書習慣がなく、自宅にほとんど本がなければ、その子供も本に親しむ機会がなく育った可能性が高いです。それなら孫も同じでしょう。

読む家庭と読まない家庭、現在はそこに経済格差が絡みますので、本を買う余裕のある家庭と余裕のない家庭という二極化が進んでいるかもしれません。とりあえず経済的な問題はお手上げですが、それはおくとして、読む習慣がない人に読む習慣を付けさせるような取り組み、少なくともその人本人ではなく、その子供や孫が本に親しんでくれるようになるためにも、50代、60代の<本に親しんでこなかった人>対策を考えないとならない、そう思いました。