書店の語学の棚でこんな本が並んでいるのを見かけました。
IBCパブリッシングの『やさしいフランス語で読む シャルル・ペローのおとぎ話』と『やさしいフランス語で読む 星の王子さま』です。並んでいたのはこの二点だけですが、カバーにはあと二点載っていましたから、全部で4点刊行されているようです。
こういうフランス語の読み物、結構需要があるみたいですね。NHK出版もこの種の書籍を刊行しています。
『フランス語で読む12のおとぎ話』『フランス語で読む5つの物語』『フランス語で読むモーパッサン』『フランス語で読むアルセーヌ・ルパン』です。
かつて、このようなちょっとした読み物の対訳や語学書はそれなりに需要があって出版もされていたのです。ところが第二外国語の履修が必修ではなくなり、大学一年次で語学の授業は終わりといった流れになり、文学作品の講読まで進むことが時間的に難しくなり、なおかつコミュニケーション重視といった語学学習の流行もあって、出版各社がこういう書籍から手を引いてしまったという歴史がありました。ちょうどそのころにインターネットの普及も手伝って、文学作品などはネットで手に入るようになり、わざわざお金を出して日本の出版社から出ているものを買おうという感じではなくなってしまったのです。
しかし、先ごろ、あたしの勤務先から『対訳 フランス語で読む「赤と黒」』という語学書を刊行したところ、思いのほかヒットし、今も着実に売れるロングセラーとなっています。
世間が一回りして、再びこういった対訳ものへの需要が高まってきたのだと思います。もちろん、かつてのような対訳本や語学書をそのまま復刊してもダメでしょう。やはり今風の編集を施さないと読者はついてきてくれません。しかし、各社がここへ来てこれだけ参入してきたとなると、それなりの鉱脈ではあるはずです。まずは他社の本もしっかり売れて、このジャンルが書店店頭で盛り上がり、書店の方に「これ、売れる!」と認識してもらうことが肝心だと思っています。そうすれば、あたしの勤務先の『赤と黒』もさらに売れるようになるでしょう。
どっかで、これらを集めてフェアでも大々的にやってくれないでしょうか?