こんなトークイベント!

講談社現代新書の『中国共産党の経済政策』と日経プレミアシリーズの『中国台頭の終焉』を読み終えました。

 

中国モノというと、得てして権力闘争など政治を中心に追ったものが多く、そういう観点からいたずらに中国強理論を煽ったり、逆に中国賛美に流れたりしがちなものが多く見受けられます。確かに中国に数年滞在したり、長年中国相手に仕事をしていると、他人の著作が語る中国像に異議申し立てをしたくなる気持ちもわかります。自分こそは中国の真の姿を理解していると言いたくなる気持ちもわかります。

ただ、近頃、そういう本に少し飽きてきました。そんなときに読んだのがこの両書です。どちらも、中国の経済データや統計を使って中国の経済成長を分析した本です。経済用語、金融用語を知らないと、ちょっと理解しづらいところもありますが、使っているデータ、観察しているはずの中国の実勢はどちらも同じものや似たようなものが多く、議論のベースは共通しているところが多々あると思われます。

が、一方は比較的楽観的な見通しに立ち、むしろそれに乗り、それを利用して日本も飛躍すべきだと説き、一方はかなり悲観的に中国の将来を語っています。著者はどちらも数年間ずつ北京の日本大使館で働いた経験を持ちます。その勤務した時期の違い、あるいは著者の年齢の違いがこういう結論を導いているのでしょうか?

もし、あたしが書店のビジネスや国際情勢の担当者であれば、是非ともこの両書の著者の対談をセッティングしたいところです。もちろんそれを仕切れる司会者、アンカーマンが必要になるかもしれませんが、変な感情に流れず、データに語らせる中国論として非常に面白い対談が実現するのではないかと思うのですが……

もちろん、この両者は対立する本ではありません。恐らく同じデータを、一方は出来るだけよい方に、そして中国と中国人の努力を好意的に見ようとし、もう一方は最悪の状況を想定しつつ、過剰な期待を持たずに導き出したものなのだと思います。