梅田の路上にて

京都のバスについて書きましたが、東京以外の土地へ行くと、東京との違いに驚くことも多いです。大阪は車の運転が荒い、などと聞きますが、確かに赤信号に変わろうとしてから何台くらいの車が強引に行くかを比べてみると、やはり大阪の方が多い、強引、乱暴な感じを受けます。

が、そんなことよりも、大阪でこのところ感じるのは路上喫煙です。

いまや、東京に限らず、主要都市の駅周辺はほぼ路上禁煙であるのが普通でしょう。どのくらい看板や表示が設置されているかは別として、基本的に駅周辺の路上でタバコが吸えるような都市はないのではないかと思います。で、どの都市にもそういうルールを守らない不届き者はいます。必ずいるものです。そういう人たちを見ると、わかってて吸っていますよね。たぶん誰かが注意しようものなら烈火のごとく怒り出すような愚か者、というのが共通するパターンです。あれが格好いいと思っているのでしょうか? そうだとしたらタバコを吸う人はますますバカだと思います。いや、そうではなく、きちんとルールを守って喫煙している人に対して申し訳ないと思わないのでしょうか? そちらの方が気になるところです。

さて、とはいえ東京は路上喫煙している人、歩きながら吸っている人、この数年でめっきり減ったと思います。あたしだって東京のありとあらゆるところにいったことがあるわけではないので、自分がふだん行くようなターミナルばかりですが、それでもこの路上喫煙禁止のルールができてから本当に減ったと思います。

そういう東京の感覚で関西へ行くと、京都や神戸はそれほど感じないのですが、大阪は非常に路上喫煙者が目立ちます。特に朝の梅田周辺は、路上喫煙禁止というルールがまだ施行されていないのではないか、と思えるほど多くの人が吸っていますし、水ながら歩いています。別にきちんと統計を取ったわけではありませんが、見る限りほぼ間違いなく「そうだ」と言えるほどの違いを感じます。

これは東京の人の方が素直で、体制に順応的で、法令遵守の気持ちがあるのに対して、大阪の人は意固地で、反体制的で、ルールなんて糞喰らえと思っている人が多いということなのでしょうか? よくわかりませんが、とにかく梅田の方が喫煙者は多いです。

もちろん、東京だろうと梅田だろうと、喫煙者は少数です。歩きタバコをしている人も全体からすれば絶対的に少ないです。そのことは、きちんと申し上げたいと思います。決して、大阪の人がみんなルールを守っていない、なんて謂いたいのではありませんので、念のため。

ところで、あたしはここまで大阪と言ったり、梅田と言ったりしてきましたが、今回の関西ツアーでふと思ったのです。京都へ来ている外国の人は京都駅という存在をどう思っているのだろうか、ということを。

彼らは「日本の京都」に来ていると思っているはずですから、清水寺も京都、金閣寺も京都、祇園だって京都、どこもかしこも「ここは京都」だと思っているのではないでしょうか? だからバス停や地下鉄に河原町とか三条とかがあっても、それは「京都の中の河原町」「京都の中の三条」という場所である、という認識だと思うのです。そういう流れで行くと、京都駅というのはちょっと変で、なんであそこだけ京都駅と呼ぶのだろう、と感じないでしょうか?

少なくともあたしは今回そんなことを感じてしまいました。つまり京都というのはあの都市全体を指す名称なのであって、塩麹から八条あたりの烏丸通り周辺地区だけを指すわけではないはずです。そういう目で見ると、ロンドンにロンドンという駅はあるのでしょうか? パリにパリという駅はあるのでしょうか? ニューヨークにニューヨークという駅はあるのでしょうか? そういう疑問というか違和感です。

大阪や、もちろん東京も同じです。だからなのか大阪はJR以外はすべて梅田という名称を使っています。うん、あのあたりは梅田と呼ぶのが正しいのでしょうね。あるいは芝田か茶屋町か堂島とか曾根崎でしょうか? とにかく大阪というもっと広い概念を示す名称をあそこに使うことの違和感を非常に感じた関西ツアーでした。あえて言うなら、大阪駅は「大阪中央駅」という感じに呼ぶべきなのではないか、東京駅も「東京中央駅」と呼べば、まだ違和感は減ると思います。もちろんどこが中央なのかは人によって違うかも知れませんが……