併売とは?

岩波新書から『袁世凱』という本が出ました。もちろん、当然、あたしは買いました。書店店頭でも、新刊コーナーや岩波新書コーナーで積んであるのをよく見かけます。

 

袁世凱と聞くと、光緒帝の百日維新を裏切って西太后に与した裏切り者、清朝の大官僚でありながら革命派と取引して清朝の幕引きを図った裏切り者、善玉の孫文に迫って大総統の地位を掠め取った悪玉、といったような印象が一般的ではないでしょうか? 確かにそういう面はあるでしょうが、あの時代の清朝の官僚として、中国(という概念はなかったかも知れませんが)をなんとか維持させるにはどんな方法があったのかと考えると、袁世凱も複雑な人物なんだろうと思います。

そんな袁世凱ですから、単著も含め関連書籍はいろいろあります。岩波新書ですから、基本は新書コーナーに置かれているはずですが、その新書でも何冊かは一緒に並べるとよさそうな本があります。が、そんな中から一冊を選ぶとすると、同じ岩波新書の『李鴻章』だと思います。著者も同じです。

しかし、何店かの書店を回っていて、この2冊を併売しているところ、並べて置いている店舗を全く見かけません。フツーに、今月の新刊として『袁世凱』を含む岩波新書が数冊並んでいるところがほとんどです。文庫・新書の並べ方としてはこれが標準でしょうし、新聞などの広告も今月の新刊として掲載していることが多いので、買いに来たお客さんにとっても見つけやすい並べ方だと思います。

でも、文庫とか新書の新刊って、結構いろいろなジャンルのものが一時に出るもので、福数冊を買って行く人が多いとは思いません。『袁世凱』を買うような人なら、その周りに中国近代史の新書が並んでいればついでに買って行ってくれる可能性も高いのではないでしょうか? と思います。

もちろん数点ある新刊それぞれに関連書を並べていては、新刊コーナーがいくらあっても足りないでしょう。ですから関連書はせいぜい1冊か2冊でよいと思いますので、一緒に並べてもよいのではないでしょうか? が、岩波新書の『袁世凱』を買う人であるなら、既に『李鴻章』は買っている可能性が高いから、あえて並べていないのでしょうか? このあたりの事情はわかりません。単に『李鴻章』という関連書があることに気づいていないだけの可能性もあるでしょうし、気づいてはいるけれど、いろいろな事情からあえて併売していないだけもかも知れません。

あたしはもちろん『李鴻章』も買ってますし読んでいますから、『袁世凱』の横に置かれていたとしても手を伸ばすことはないのですが、意外と『李鴻章』をまだ買っていない人、知らなかった人、買いそびれていた人っているのではないでしょうか?