企画が先か? 受賞が先か?

国書刊行会からこんな本が出ましたね。

モディアノ中毒』です。今年、ノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノに関する評論です。ちょうどノーベル賞の授賞式のタイミングで刊行してくるとは、さすがに国書刊行会です。

ところで、こういう本、別に国書刊行会でなくてもよいのですが、ノーベル賞の受賞が決まってから企画が立ち上がったのでしょうか? それとも、たまたま企画を進めていたらノーベル賞受賞というニュースが飛び込んできて、刊行時期を多少調整したのでしょうか?

もし後者だとしたら「ラッキー!」というところでしょうが、もし前者だとしたら、実用書計出版社並みのフットワークの軽さですね。だって、受賞発表からの時間を考えたら、著者を探して原稿執筆を依頼し、書き上げてもらって本にするなんて、週刊誌や100ページ程度の軽い本ならまだしも、この手の本では無理でしょう?

やはり、ノーベル賞とは別に企画が進んでいたのでしょうね。

そうそう、現在バカ売れ中の『21世紀の資本』でも、そんな二匹目、三匹目のドジョウを狙ったような書籍が陸続と出版されていますね。もちろん、原書がアメリカで大評判になっていたというニュースは入ってきていたでしょうし、みすず書房からいつごろ刊行されるかという情報もだいたいつかんでいたでしょうから、このタイミングで刊行してくるのは、それほど至難ではないでしょう。

それでも雨後の筍のようです。多すぎないか、共倒れにならないか、と他人事ながら危惧してしまいます。もちろん、あたしは冷めた目で見ている反面、複数の雑誌が企画しているピケティ特集号も、そのフットワークのよさはやはり見倣うべきところだと思ってもいるのです。