親日家・習近平?

チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』読了。

本書の刊行を前にして前著『チャイナ・ナイン』が『[完全版]』として文庫になったので、まずはそれを読み、引き続いて本書を読みました。

さて、本書を読むと、特にその前半を読んでいると、習近平は実は日本とものすごーく仲良くしたがっているのではないか、と思えます。「まさか?」という人がほとんどではないかと思いますが、共産主義よりも領土拡張よりも、何よりも、今の中国にとって大事なのは「安定」です。その安定を勝ち取るためには外交でゴタゴタなど抱えていたくはないはずです。特に、反日でひとまず国がまとまっているうちはいいですが、この過激さがいつ何時、共産党政権に向けられないとも限りません。ですから必要以上に国民を刺激して過激な方向に向かわせたくはないはずです。だから、日本とは、できるなら穏便に、ベタベタな友好関係にはならなくとも、ほどほどに仲良くやっていきたい、というのが偽らざる本音だと思います。

西欧的な価値観を頑なに拒否している中国ですが、たぶん中国としては安定が最優先の国是がありますから、それと引き替えにするつもりはないでしょう。中国だって、本音のところでは欧米の言い分、西欧的価値観とか民主主義とか、そういったものに対する理解はあるのだと思います。でも、安定が損なわれてまで、それらを取り入れようとはしないだけなんだと思います。

ですから、民主化しても安定が損なわれることはない、西欧的な価値観を取り入れても安定が脅かされない、と確信が持てるならば中国政府だってそちらに舵を切るだろうと思います。その時の問題は共産党の指導的地位でしょう。

これも、実は中国政府にとって模範となるのは日本ではないか、と思います。日本は多党制の民主主義の国です。にもかからわず、いくら選挙をしても自民党がほぼ勝ち続ける、政権交代の起こらない国です。たぶん、西欧的な多党制を認めても、日本のように実際には政権交代が行なわれない、つまり共産党以外の政党を認めても共産党の優位、指導的立場が脅かされないと確信が持てるのであれば、中国は多党制を導入するのではないでしょうか?

ですから、中国にとって最高のモデル、理想の国のかたちは日本なのではないかと、そう思えてきます。

2014年12月2日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー