まさに華!

昨日見に行ってきた東京国立博物館の「東アジアの華 陶磁名品展」について、まだ書いていなかったですね。

陶磁器は詳しくはないですけど、好きです。ただ、東アジアの美術品の展覧会として陶磁器が果たして「華」なのだろうか、そんな気はします。

東アジアの美術と言ってもいろいろあります。どれもすばらしいものばかりで、いずれがアヤメかカキツバタ、どれか一つを取り上げて「華」とは言えません。それとも東博のこの展覧会は「東アジアの華」シリーズで、今回は陶磁器を取り上げましたけど、書とか絵画とか、これまでにも、あるいはこれからもいろいろな展覧会が行なわれるのでしょうか?

それはともかく、今回の展覧会の感想です。印象に残っているものを順不同で書いてみます。

まずは日本の「火焰型土器」、これは教科書でよく見たなあ、という印象のままです。たぶん教科書に載っていたのはこれではなく、別の火焰型土器なのでしょうけど、既視感はありありでした。

全体的に地味で、パッとしない印象のある日本代表の中で、仁清の「色絵月梅図茶壺」は立派でしたし、やはり目を奪われます。派手でありながら渋みがあり、落ち着いた風合いを感じます。

中国のものでは唐三彩がやはりいいですね。個人的にも、初めての中国旅行の折、洛陽で小さな唐三彩の馬を買いました。卓上どころかてのひらサイズのカワイイものでしたけど、帰りの荷物を増やしたくない身としては大きさも値段も手頃で、小さくてもしっかりと唐三彩のよさは表われている一品でした。そんな想い出があるので、唐三彩には惹かれます。

そして美しい造型だと感じたのは「青磁龍耳瓶」です。二頭の龍が頭を突っ込んでいる造型もカワイイですし、青磁とはいえ、その白さが美しかったです。

そして青磁、白磁と言えば、個人的にはやはり朝鮮が一番という印象があるのですが、「青磁竹櫛文水注」は、青磁の美しさと竹模様のバランスが見事でした。青磁や白磁はつるつるの表面という先入観を見事に覆してくれました。

とはいえ、「白磁壷」の美しさにはため息が出ます。また「青磁亀形水注」や「青磁象嵌辰砂葡萄童子文水注」には美しさの中に微笑ましいかわいさを感じます。

全体としては派手ではありませんが、好きな人には味わい深い展覧会になっているのではないでしょうか?

さらについでに、本館二階を一巡りした中では、「唐物ってなに?」展が一番面白かったです。同じようなものですが、中国で作られたものと日本で作った物を並べて展示してあります。中国と日本の作風の微妙な違い、あたしのような凡人にはその差がほとんどわかりませんが、こういう展示はとても興味深いものです。

焼き物が多いので、「東アジアの華」の後に見学すると、なんとなく連続的な感じもして面白いのではないでしょうか?