私戦予備罪って

少し前のニュースですが、イスラム国へ参加しようとした北海道大学の学生が事情聴取を受けたというニュース。

この報道に接して、あたしは、日本国内で武器や弾薬を隠匿していたとか、テロ行為などを画策していた、という明確な証拠でも出てこない限り、「イスラム国へ行きたい、参加したい」という理由だけで、この学生を逮捕できるのだろうかと感じていました。

が、その後の報道を見ていますと、日本には「私戦予備罪」というのものがあるのだそうですね。北大生はこの容疑で事情聴取されているようです。たぶん、ほとんどの日本人がこの「私戦予備罪」という言葉を知らなかったのではないでしょうか。かく言うあたしも知りませんでした。だから「逮捕できるのか?」という疑問を持ったわけです。

ところで、この私戦予備罪。この法律がどういうものなのかは、ネット上にいくつも情報がありますから、そういったサイトを見ていただくとして、そういう情報を見た上で、さらに疑問がわきました。

いや、これは疑問と言うよりも、時代が異なっていたら、という「歴史のif」の話です。

外国へ行って、外国の政府に対して暴力的な行為を企ててはいけない、というのが私戦予備罪の定義のようです。原題の日本人であれば、イスラム国以外なら、アルカイダとかをイメージするのでしょうか? 確かにテロ組織ですよね、現時点では。でも、こういうテロ組織っていつまでもテロ組織なのでしょうか?

何が言いたいかと言いますと、もし彼らの組織が政府を倒し、新しい政権を樹立し、それなりに国民の支持を取り付けて国家を運営してしまったら、それはもうテロ組織ではないのではないか、ということで、そういう可能性は今後も未来永劫ないのだろうか、ということです。

お前、何を言ってるの?

と言われそうですが、ここであたしがイメージしているのはアルカイダでもイスラム国でもなく、孫文です。彼と彼らの一派は時の清朝政府から見ると立派なテロリスト、テロ組織だったはずです。だからこそ、日本政府も表だっては彼らを支援しようとはしなかったわけで、当時の状況で語れば、清朝政府に仇なす敵以外の何ものでもなかったでしょう。

この孫文を支援した日本人がたくさんいました。有名なところでは宮崎滔天でしょうが、彼以外にもかなりたくさんの日本人が孫文とその仲間を支援し助けています。日本にいて支援していただけでなく、実際に大陸に渡って一緒になって活動していた人すらいました。

はい、彼らがもし現代の日本に生きていたら、私戦予備罪に問われたのでしょうね。警察に事情聴取されたのでしょうね。そう考えてしまいます。歴史がどう推移するかわかりませんが、時の政権がテロと決めつけ、すべてそちら側が悪であるかのように誘導するのは、もしかすると非常に危険なことなのではないのかな、とも思います。もちろん、あたしがイスラム国やアルカイダに賛意を示しているというわけではありませんが。