パート2です

一年ほど前でしょうか、確かWOWOWで放映された「貞子3D」を見て、この夏、遂にその続編である「貞子3D 2」が放映されました。

前回は石原さとみがヒロインで、あたし的にはもう「リング」とは別の作品、これは単なるコメディーではないか、という感想でしたが、今回のパート2に関しては前作よりはホラーに戻っていました。

ストーリーとしては前作から5年後、瀬戸康史と石原さとみの娘、凪が幼稚園児になり、その周囲で人が次々に死んでいきます。凪は不気味な絵を描いていて、凪に描かれた人は描かれたとおりの状況で死んでいくのです。

ここまでですと、凪って貞子の生まれ変わり? 前作で貞子と対決した石原さとみの体内に貞子が取り込まれて、その石原さとみから生まれたときに凪の体の中に貞子が入り込んでしまったの? という設定もありえそうです。でも、普通に考えたら、自分の誕生と共に母を亡くした凪が母を求めて情緒不安定になっている、というわかりやすい心理学の症例ではないかと思います。そうなると描かれた絵と死者との関係が説明できませんが、とりあえず偶然と言っておきましょうか?

話は、瀬戸康史の妹で彼が働いている間、凪の面倒を見ている瀧本美織の生い立ちとも絡んできます。瀬戸康史と瀧本美織の母親は瀧本美織が幼いときに風呂場で自殺しています。それを見つけたのが幼い瀧本美織で、彼女は母親を救えなかったという自責の念に駆られて生きてきたわけです。母を助けられず失った者同士として瀧本美織と凪がシンクロするわけです。

で、貞子は実際にところ存在しているのか? そこがこの作品の最後までの謎なんです。凪の描く絵も彼女が予言しているのではなく、頭の中、心の中に浮かんで情景を描いているだけ、凪には人が死ぬ怖い光景が見えてしまうんですね。それを発散、解消させるために絵を描いているのではないでしょうか? 子供なりの自己防衛本能だと思います。

では、凪にそんな情景を見せているのは何か。それが貞子らしいと作品中では匂わせています。途中までは、いかにも凪が貞子の生まれ変わりのように描いているのですが、後半は凪は操られているだけ、本当の貞子の生まれ変わりはあらゆるところに出没している、という感じになっています。このあたり、もう少し貞子を使って怖がらせてくれてもよかったのにという憾みが残ります。

そして憾みが残ると言えば、石原さとみは生きていた、という唐突な設定も本当なのか、瀧本美織の心の中だけの出来事だったのか、いまひとつはっきりしません。そして前作では怪演していた山本裕典も今回はなんだったのでしょう?

で、全体を見ての感想なんですが、瀧本美織が思いのほかカワイイ、幼いころのトラウマを抱えていたとはいえ、行動にちょっと疑問符が付くところはありましたが、全体としてはよく演じていたのではないかと思います。少なくとも後半に出てきた石原さとみよりはかわいく感じられました。

そして、凪ちゃん役の子が愛らしいです。それにしても、いまどきの幼稚園で母親がいないくらいであれだけいじめられるのでしょうか? そりゃ、確かに凪はちょっと暗いし他人に打ち解けないところがありますが、見た目が不気味なわけではないですからね。あれはいじめっ子の方が悪い、お前なんか殺されて当然だ、と多くの観客が思ってしまうのではないでしょうか?

ただ、そんなことより、この凪ちゃんが、妹のところの下の姪っ子に似ていて(姪っ子も、ああいう長い髪なので)、あたしはものすごく感情移入して見てしまいました。