午前様?

本日は、多摩地区の某書店の人文書勉強会。テーマは仏教について、でした。

都心部の大型店と異なり、地元密着の小規模店にとって、人文書をはじめとした専門書をどう売るかはなかなか難しい問題だと思います。正直に言ってしまえば、しっかり揃えるだけのスペースが取れないのであれば、全く置かないというのも一つの選択肢だと思います。それでも書店の側がそのジャンルを強化したいというのであれば、協力したいと思うのが出版社の「さが」です。

さて、その仏教のお話。広く宗教と考えてもいいかと思いますが、そうなるとキリスト教やイスラム教などをどこまでフォローするかという問題にぶつかります。最近は若い僧侶のエッセイのようなものも売れていますが、あれらは宗教のコーナーでよいのか、という悩みもあります。

個人的な印象から言ってしまえば、宗教の教義について知りたいというのであれば専門書、人文書のコーナーだと思いますが、宗教に癒やしを求めたいというのであれば自己啓発や文芸・エッセイのコーナーでよいのではないかと思います。もちろん仏教の場合なら、日本史の棚に入れ込んでしまうというのも中小規模店ならではの並べ方だと思います。逆にキリスト教やイスラム教も昨今の中東情勢などと絡んでくると、むしろ時事、国際問題のコーナーの方がフィットするのではないでしょうか?

たぶん、1000坪クラスのお店でなければ、宗教だけを切り取ってしっかりとした棚作りをするのはスペース的に難しいと思います。それよりも、上に書いたように他のジャンルとの親和性や関連性を考えて並べる、棚を作っていく方がお店の人も仕事をしていて楽しいのではないでしょうか?

若い僧侶のエッセイなど、主たる読者は女性だと思います。「女性エッセイ」という棚の分類にしてしまうと漏れますが、「女性向けエッセイ」という分類なら作家、評論家、エッセイストの作品と一緒に並べられるでしょう。そういう工夫も楽しいのではないかと思いました。

とまあ、そんなこんなで打ち上げにも出ていたら、あやうく午前様になるところでした。