売れ方

刊行以来、『2666』が絶好調で売れています。この出版不景気の世の中で、本体価格6600円、900ページ近い厚さ,1.2キロという重さ、それでもそんなことはハンディとせず、むしろ通常の海外文学作品よりもはるかに売れています。ただ、そこにちょっとした傾向が見えるのも事実です。

都心部、地方都市でも中心部の大書店では、それこそ入荷する側から売れている、高い本なのでおっかなびっくり発注したけど見事売り切って、むしろ追加が欲しいくらいという書店がいくつもあります。9月下旬に刊行した本書、9月、10月の2か月(実質1か月ほど?)の実売で10冊以上売っている書店が十指に余ります。これは異例なことであり、異常なことだと思います。

その逆に、小さい書店、ほとんどうちの本が配本されない書店ではお客様から問い合わせを受けることもないような感じのようです。これはかなり極端な現象ではないでしょうか?

このような高い本なので、読者の思考回路としては「近所の小さい本屋では置いていないだろうな」→「こんど都心の大型店へ行ったときに買おう」という流れになっているのだと思います。また「高い本だからどうせならきれいな本を買いたいな」→「都心の大型店なら何冊も置いてあるからきれいな本を選べるな」という思考回路も働いているのではないでしょうか?

つまりは書店の二極化です。

こういう場合出版社としてはどうしたらよいのでしょうか? より売れる都心の大型店偏重で販促した方がよいのでしょうか? あるいは中小規模の書店に営業した方がよいのでしょうか? 難しいところですね。

地域のお客様と繋がり、地味とは言え日頃しっかり売ってくれている中小規模書店を排他したくはありませんし、かといってこれだけ高価格の本ですと、無理に営業して置いてもらうのもためらわれますし、難しいところです。