明日は七夕ですね

明日は七夕です。彦星と織姫、あるいは牽牛と織女、どちらでもいいですが、一年に一度の逢瀬だというのに、日本ではほぼ毎年露の雨雲に阻まれて逢えない二人です。いや、旧暦なら梅雨も辛うじて明けているから逢えるのですよね。こういう伝統的なものは新暦で考えてはいけませんね。

さて、その七夕。このダイアリーでも何回か書いたような気もしますが、日本人なら七夕で浮かれているのではなく、「盧溝橋事件」の当日であるということを忘れてはならないと思います。

えっ、盧溝橋事件って何?

ああ、そういう人も多くなっているでしょうね。そもそも「盧溝橋事件」が読めますか? 「ろこうきょう・じけん」です。「盧溝橋」というのは中国の首都・北京郊外にある橋の名前です。かのマルコ・ポーロが絶賛したと言われている橋ですが、もちろん現在の橋をマルコ・ポーロが見たわけはないでしょう。当時としてはとても見事な橋だったのだと思います。

こんな橋です。盧溝橋事件については適当な辞書やウィキペディアに任せるとして、しばしば反日絡みのニュースでも登場する抗日戦争記念館があるのもここです。あたしは二回行っていますが、あるときは中学生や小学生の団体の見学客と一緒になったことがあります。あちらでは必須の社会科見学なのでしょう。

盧溝橋は北京の南西郊外にあります。タクシーで北京中心部から30分から40分くらいでしょうか。それほど近いわけでもなければ遠いわけでもありません。北京原人発掘で有名な周口店はさらにその先でもう少し遠いです。あたしは行ったことがありません。

で、この盧溝橋を見学してタクシーで市街に戻るとき、中心部まで戻るのではなく、その途中の瑠璃廠へ寄ってお土産や書籍を買おうと思いました。そこでタクシーの運転手に「瑠璃廠」と告げると、そこはもう通り過ぎたというのです。こっちもお上りではありません。北京の地図はだいたい頭に入っていますから、いま自分たちがタクシーでどこを走っているかはわかっています。運ちゃんに、そんなことはない、まだ先だと告げたのですが埒が明きません。運ちゃん、車を路肩に止めてしまいました。こちらも持っていた北京の市街図を出して瑠璃廠を指し「ここだ」と伝えます。

すると、運ちゃん、「なんだ、瑠璃廠か」とニコニコしながら言うではないですか。運ちゃん、どうやら通り過ぎた「六里橋」と聞き間違えていたようです。と言うよりも、あたしの発音が悪かったのでしょう。行きはバスで盧溝橋に向かったので、確かに行く途中、北京の外れに「六里橋」という地名(バス停)があったのは憶えていました。お互いわかってみれば爆笑のタクシー騒動記でした。

それにしても、中国語のできる人であれば「六里橋」と「瑠璃廠」の発音が似ていること、わかっていただけると思います。しっかり発音し分けるのもたいへんです。日本人の苦手な巻き舌音なので。

ということで、明日は七夕ではなく、明日は七七事変なのです。