文庫・新書の高い壁、いや、山?

少し前に、書店では文庫や新書はレーベルごとに並んでいるけれど、内容やテーマごとに並べられないもうだろうか、的なことを書きました。それが棚管理上たいへんであることは重々承知していますが、やはり利用者目線としては、そういう置き方、並べ方の方が楽しくないか、という気持ちがあるのです。

ただ、やはりこういった考えは現実の書店現場を知らないから気軽に言えるのでしょうか? そういうあたしの考えをたしなめるかのような夢を見ました。

なぜか、あたしは本屋で働いていました。正社員なのかバイトなのか、はたまた出版社の身分のまま手伝いに行ったのか、夢の中では定かではありません。働いている本屋も知っているお店ではなく、いったいどこの本屋なのか皆目わかりません。

そんな本屋の文庫・新書の棚の前で、うずたかく積まれた新刊の山を前に途方に暮れているあたしがいました。その月の文庫・新書の新刊が同じ日に入荷してくることはありませんから、夢の中とはいえかなり特殊な状況です。見る限り、ほとんどすべての出版社のレーベルの文庫・新書が山積みになっています。それも、レーベルごとに山になっているのならまだしも、ごちゃごちゃに置かれています。取次から入ってきた荷物は誰がわざわざこんな面倒な積み方をしたのでしょうか、という気持ちになりました。

さて、開店まで時間もないのか、既に開店していたのか、夢の中ではよくわかりませんでしたが、とにかくあたしはこの山を一時間かそこらで片づけなければなりません。片づけるとはバックヤードへ運ぶのではなく、すべて棚に収納するという意味です。棚前の平台があったのかどうかは思い出せませんが、とにかく一つ一つ棚に入れていかなければならないのです。

途方に暮れつつも、あたしは最初のうちは「やはりテーマごとに並べた方がいいよね」と考えていました。だった、山の中には違う出版社、異なるレーベルとはいえ似たようなテーマの本がいくつかあったからです。これとこれを隣に並べたら両方とも買って行ってくれるお客さんもいるだろうなあとは予想できます。

でも、すぐに現実に引き戻されます。「この山をできるだけ速やかに片づけなければいけないのに、そんな一点一点テーマとか内容とかを吟味して棚に入れていくような時間的余裕はない」ということです。仕方ありません。既に店にはレーベルごとに文庫・新書が並んでいます。そこへあたしは山から同じレーベルのものを見つけ出しては並べていったのです。

短時間で効率よく作業をするには、少なくとも文庫・新書についてはこのやり方がベストだなと、自分の作業によって身を以て憶えたのです。生意気にもあんなブログを書いたあたしへの神様の当てつけというか、天罰というか、懲らしめ。夢だとわかっていながら、夢の中であたしはそんな風に感じていました。