ハリー・ポッターでお馴染みのダニエル・ラドクリフ主演のゴシック・ホラー「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」を視聴。
原作は早川文庫の『黒衣の女 ある亡霊の物語』だそうですが、もちろん読んだことありません。ちなみに、あたしは「ハリー・ポッター」シリーズも読んだこともなければ、映画も観たことありません。あしからず。
さて、この映画ですが、長男の出産の折に死亡してしまった妻の面影を忘れられずにいる弁護士ラドクリフが、この仕事をうまくやれないとクビにすると事務所から申し渡されて向かったのが、ロンドンから列車を乗り継ぎ訪れた田舎。その田舎の村の外れの、広大な沼地の中の島に立つ大きな屋敷です。既に居住者は亡くなっていて、その財産の整理に訪れたという設定。
よそ者に冷たい視線を送る村人の雰囲気はよく見られるパターンです。既に列車も走り、自動車もこの村には一台あるというのに、中世のようなたたずまいというか、ひと昔もふた昔も前のままの住民たち。そんな村では、子供たちが次々と事故で死ぬという忌まわしい出来事が続いているのです。その原因がラドクリフが向かう屋敷にある、というのは言われなくてもわかりますが、なぜそうなったのかが徐々に明かされていきます。
以下、ストーリーを書いてしまいますと、この屋敷に住んでいた夫婦には子供がなく、妻の妹(だったかな?)の子供を養子に取ります。ところが、この夫婦は実の母親が子供に会わせてくれと言っても断わり、手紙のやりとりすらも断わるほどの冷たい夫婦だったようです。と、こう書くと「悪い夫婦」という印象を持ってしまいますが、どうでしょうね。自分の子供として育てたいと思って養子にもらったのだとしたら、いつまでも実の親がしゃしゃり出てこられるのはイヤなのではないでしょうか?
それはさておき、ところがこの養子の男の子が沼で溺れて死んでしまいます。そして沼だったからでしょうか、遺体も見つからず埋葬もされないまま、溺れたとおぼしき場所に十字架が立てられているだけでした。実の母親が会わせてもらえなかったのは子供が死んだことを知られたくなかったからかもしれませんね。そのあたりの時間の前後関係は不明ですが、とにかく息子の死は実の母親の知るところとなり、母親は養父母をなじり、挙げ句、この屋敷の子供部屋、つまり自分の息子の部屋で首をつって自殺してしまいます。
この母親がいまだに子供を思ってさまよい出てきては、目に付いた子供をあの世へ引きずり込んでいるのが数々の子供の事故の正体らしいのですが、それに気づいたラドクリフは沼地から男の子の遺体を見つけ出し、母親の棺桶に一緒に埋葬します。これで一件落着、母親もようやく成仏(←キリスト教世界では昇天と言うべきか?)したと信じ、列車でロンドンからやってきた4歳の自分の息子と、ロンドンへ戻っていきますが、そこで大どんでん返しというか、あっと言う結末が……
さて、ちょっとミステリーとホラーが融合し、時代を現代ではなく、やや迷信が残っていそうな少し前の時代に、舞台も都会ではなく田舎に設定しているところは、ジョニー・デップ主演の「スリーピー・ホロウ」によく似た感じがします。ビジュアル的にも影響を受けているのではないかなあ、という気がします。
肝心のラドクリフも、あたしは上に書いたように「ハリー・ポッター」を見ていませんが、そんな面影は微塵も感じられず、精神的にやられているインテリをうまく演じていたのではないかと思います。そんなところもジョニー・デップにちょっと似ていたかな、と思いました。