アマゾンは速いのか?

業界紙の「新文化」にも載っていたので改めてアマゾンについて考えてみました。

よく本屋(リアル書店)は入荷が遅くてアマゾン(ネット書店)は速い、と言われます。これは多分にマスコミの報道の仕方やアマゾンの宣伝に惑わされていると思います。アマゾンだって書店ですから、出版社から見て街の本屋と違いはありません。アマゾンからの注文は速く出荷して、街の書店からの注文は後回し、ということはありません。出荷してから取次を経由して書店に届くのも、たぶん同じだと思います。

アマゾンが速いと言われるのは「自社の倉庫に持っている本は」ということであって、それなら買い物に出かけたときに店頭に目当ての本があればその場で手に入れることの出来る街の本屋の方がはるかに速いです。それなのに「アマゾンは速い」と言われるのは、街の本屋に目当ての本がない場合が多いからでしょう。

アマゾンは、今では日本全国にいくつかの倉庫を持っていますが、そのいくつかの倉庫で全国のお客さんを相手にすればよいのですから実に効率よく在庫できます。でも街の本屋さんは、その地域の人たちの需要を満たせるほどの在庫を持つことは難しいです。勢い、アマゾンにはあるけれど近所の本屋にはない、という状況が生まれます。

でもアマゾンの倉庫にだって在庫していない本はごまんとあります。あたしもかつて、専門書ですが、注文したら2、3週間待たされました。アマゾンも持っていない本なら、上に書いたような流通ルートに変わりはないので、街の本屋と入荷までの時間はほとんど変わりはないのです。もっとそこに気づくべきなのだと思うのですが、ね。

あえて言えば、「いつ届く」というのが利用者から見てはっきりしている、というのがよいのかも知れません。アマゾンに限らず、たいていのネットショップは「商品を手配しています」「出荷しました」「○日頃入荷予定です」といった注文品の追跡が可能ですが、街の本屋の場合、ほとんどブラックボックスですから。