クリミア? ウクライナ?

今更ながら、ウクライナ問題。

とりあえず、テレビや新聞で知った程度の知識ですと、旧ソ連時代のウクライナ共和国、それがソ連崩壊を機にそれぞれが独立し、ウクライナもそのまま共和国となったわけです。ところが、このウクライナは一枚岩の国かというとさに非ず、西側はウクライナ人が多く住み、親ヨーロッパ、東側はロシア人が多く住み、親ロシアなんだそうです。本来なら、西側だけをウクライナ共和国とし、東側はロシアの領土であればよかったものを、地理的な位置関係が絡んだのか、東側も含めてウクライナ共和国となったそうです。ソ連時代であれば、どこの共和国に属そうが、大きなソ連の一部ですから問題なかったものが、各共和国が独立したがために、ややこしいことになったそうです。

と、ここまでにわか仕込みの知識。クリミア半島は東側に属し、ロシア人が多く住んでいるので、もともと親ロシアだった、とも報道されています。住民自治を原則とするのであれば、クリミアの人たちが自分たちの投票で決めたのだから、それでいいじゃないか、という意見も理解できます。

で、ここで日本に置き換えてみます。

例えば、北海道が住民投票を実施して「日本から離脱してロシアに加わる」と主張したらどうでしょう? 北海道に住む人がそれを希望するのであれば、そして実際に投票をして過半数(あるいは3分の2?)の支持を得て、その意見が通ったら北海道は晴れて日本から別れてロシア領となるのでしょうか?

たぶん、そう簡単な話ではないですよね。その投票を日本の政府が認めるのか否か、そこがまずは第一の問題です。青森のすぐ北がロシアなんて、ちょっと違和感があります。別にかつてのようにロシアが嫌い、ソ連は嫌い、という意識はありませんが、やはりイヤですよね。俗っぽい話をすれば、もう北海道に気軽に旅行に行けなくなるのか、東京で北海道物産展は開かれなくなるのか、そんな心配もあります。

それに、北海道の住民の投票で決めたと言っても、果たしてどこまで住民の意思を反映しているのでしょうか? そんなこと現実には起こりえないとは思いますが、十年がかりでロシアの人たちが徐々に北海道に移住してきて日本国籍を取得し、いつのまにか北海道全道民の過半数がロシア系の人になった、その時を捉えてこういう運動が起こったらどうでしょう? 可決される可能性はありますよね。

中国の少数民族地域では似たようなことが起こっています。漢民族の移住が増えて、現地の住民の過半数を漢民族が占めるようになってしまい、投票などをすれば、もともと住んでいた少数民族ではなく、漢民族の意見が通るようになってしまっているところも多数あるそうです。

で、ウクライナです。

ウクライナの東側とか、特にクリミア半島にロシア人が多いからと言って、そこは果たして最初からロシア人が住んでいた土地なのでしょうか? もともと住んでいた住民を追い払ってロシア人が住み着いたとか、あるいは追い払いはしていないが、ロシア人が大挙してやってきたがために今ではロシア人が住民の過半を占めるようになってしまっただけとか、そういう可能性はないのでしょうか?

管見の及ぶ限り、今回のウクライナ問題で、こういう歴史的なことをわかりやすく解説してくれている新聞が見当たらないのですよね。どうしてでしょう? やはりクリミア戦争からたどらないとならないのでしょうか?