読者が作り上げる作品?

昨晩は新宿の紀伊國屋ホールで『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュさんの来日記念トークイベントでした。対談相手は川上未映子さん、すんみさん、そして司会進行が翻訳家の齋藤真理子さん。

なんと豪華な布陣でしょう!

会場はもちろん満員、8割方は女性、それも若い方ばかりでしたが、予想以上に男性も多いな、という印象でした。そしてあたしはスタッフとして会場整理などのため会場に行っておりました。

トークイベント前に1時間半ほどのマスコミ記者会見があり、数十社が駆けつけていましたので、今後メディアに昨日の模様が随時紹介されることになると思います。

そして今朝からTwitterを見てみますと、参加された方が昨日のイベントの感想をつぶやいています。昨日のトークイベントは質疑応答がなかったので、会場で集めたアンケートには、ものすごい熱量で用紙いっぱいに書き込んでいる方がほとんどでした。この思いをなんとかチョ・ナムジュさんにも届けたいとスタッフ側の一人として思った次第です。

トークの内容については、スタッフ側だったので会場内にいたわけではなかったのですが、ホールなどでは会場内の音声が流れていたのである程度は聞くことが出来ました。個人的には、『キム・ジヨン』は結局そこから読者に考えてもらう作品であるという発言が印象に残りました。

確かに、この作品は主人公が問題を抱えたまま作品が終了しています。尻切れトンボという言い方もできるかも知れません。でも、そういうところが文学の醍醐味であって、そこから先は読んだ人それぞれが自分なりのキム・ジヨンをイメージするのが正しいと断言はできませんが、楽しみ方の一つであるとは言えると思います。

そして、トークイベントの後半は会場で先行販売を行なった新刊『ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』について。七つの短篇の巻頭であり、表題作の「ヒョンナムオッパへ」がチョ・ナムジュさんの作品。

この「オッパ」という言葉を巡って、すんみさん、齋藤さんも巻き込んで大いに話が盛り上がりました。「オッパ」という日本語には訳せない関係性という視点も非常に興味深かったです。

会場では、既に『キム・ジヨン』は読み込んでいるお客様が多かったようで、トークイベントのもう一つの主役となった『ヒョンナムオッパへ』を早速買って読もう、読みたいという方々で書籍販売の前には長い列ができていました。その『ヒョンナムオッパへ』は本日が配本日。今週後半には店頭に並び始めると思います(紀伊國屋書店新宿本店では既に先行販売中です)ので、是非どうぞ。