『我的日本 台湾作家が旅した日本』読了。
最近の台湾文学に興味をお持ちの方であれば、呉明益や甘耀明など見知った名前も登場しますし、邦訳こそ出ていないものの台湾の実力者の名前を発見できることと思います。しかし、日本において一般的な知名度となると……
が、本作の場合、そういう見方で読むものではないと思います。たまたま東日本大震災に遭遇してしまった作家もいますが、多くは日本に興味を持ち、日本にやって来たくてわざわざ来日した人たちの文章です。
必ずしも名所旧跡ばかりを見て回っているわけではありません。むしろ、日本人でもなかなか訪れないようなところを訪ねたり、気にも留めないようなところ発見しています。個人的には、最後に登場する「門外漢の見た京都」など、京都市内外を散策する時に、ここの部分だけでもコピーしてポケットに忍ばせておいてもよいくらいの内容だと思います。
そんな風に考えますと、本書の後半には意図的に京都や関西の旅に関する文章が集められ並べられています。関西の書店であれば、ここの部分をフィーチャーして売っていただくのがよいかも知れません。そこから他の章へと読み進んでみてください。台湾の作家たち、各者各様、訪ねた場所も時期もさまざまですので、興味を惹かれたタイトルからページを開いてみては如何でしょう?