あたしの場合は韓非子だった

昨日試写会を見に行った『ライ麦畑で出会ったら』ですが、つまりは悶々とした学生時代に『ライ麦畑でつかまえて』を読んで大感激した主人公の話なわけです。恐らく、アメリカだけでも同じような青春時代を送った少年少女は数え切れないほどいるのでしょう。そして翻訳された各国でも。

別に『ライ麦』でなくとも、青春時代に出会って、人生観が変わったと言ったら言いすぎかも知れませんが、その当時の心境としてはそれくらいの衝撃を受けた本というのは、多くの人にあるのではないでしょうか?

あたしの場合、それは中国古典の『韓非子』でした。

あたしも、どちらかと言えば嫌われ者といった存在で、親しい友達もいなくて、孤独な学生時代でした。時代が異なるので昨今のような陰湿なイジメこそ受けていませんが、それなりにツラい時もありました。

そんなときに出会ったのが『韓非子』です。他人を信じてはいけない、他人は絶対に裏切るから裏切られないように注意しないといけないといった徹底的なリアリストぶりに震えました。感動なんていう言葉で言い表わせないほどの衝撃でした。

それ以来、『韓非子』はあたしのバイブルです。『韓非子』に出会ったのが高校の頃で、その影響で大学は中国哲学を専攻したくらいですから。

2018年9月26日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー