BとK、新宿の西と東で

夏の本屋と言えば文庫のフェア、というのがお決まりですが、出版社企画のフェアではつまらない、個性が出ない、というのもよく聞く話です。

かといって、自分で選書して発注するとなると、日々多忙な書店員にはなかなかハードルが高いというのも理解できます。

しかし、新宿駅の西と東にあるブックファーストと紀伊國屋書店では、それぞれ夏の独自フェアを開催しております。それなりの規模の書店だからスタッフも大勢いて、こういう作業も手分けしてやれるから、という恵まれた環境もあるのでしょうが、やはり意識の差なのかもしれません。

まずはブックファースト新宿店。

こちらは「2018夏の文庫フェア」で、タイトルだけ見ますとまるっきりどこぞの大手出版社の文庫フェアのようですが、

大型連休がやってくる夏にこそ、普段なかなか読めない古典作品や名作をじっくりと読んでみませんか? 新宿店では、スタッフ100名がオススメする“名作文庫”を集めたフェアを開催しております。誰もが知っている古典から、もっとたくさんの方に読んでいただきたい隠れた名作まで、約200点を取り揃えました。ぜひ、お立ち寄りくださいませ。

という内容紹介を見てもわかるとおり、完全に独自選書のフェアです。スタッフ100名ということなので他店の社員やアルバイトの方まで協力・参加しているのでしょう。こういう一致団結してできるところにも、その書店のよさが感じられます。

続きましては駅の東側の紀伊國屋書店新宿本店。

こちらは既に紹介しましたが、「単行本・夏の100冊」です。

出版業界、夏といえば文庫本100冊ってことになってますが、我々は天邪鬼なのでやります。《単行本・夏の100冊》。文学担当達がガチで選んだ名著・怪著。夏ってだけでハイになって買える本もある。むしろじゃないと手さえ出せない本もある。いやいける読めるだって夏だし!特典付。ぜひ

読んでわかるとおり、世間が文庫、文庫と騒いでいるなら、こちらは単行本で勝負だ、という趣旨のフェア。確かに、文庫レーベルを持っていない出版社の刊行物ですと、他社で文庫化されない限り単行本で読むしかありませんし、そういう中にも名著はゴロゴロ転がっているものです。

鞄に忍ばせて持って歩くには単行本はかさばりますが、最近は分厚い文庫本も増えていますので、実際の分量としては単行本の方が多くて、文庫本の方が少ないとは限りません。それに、本を読むスピードって分量よりもないように入り込めるか否かではないでしょうか?

ところで、この両店のスゴいところは、これだけのフェアをやりながらも、店内のあちこちでミニフェアやミニ特集をいくつもやっているところです。日々、本を目にしながら「この本を中心にコンアフェアをやってみよう」というアイデアがどんどん湧いてくるのでしょう。