「戦争を考える→戦争を読む」ガイブンの新刊2点

奥のほそ道』は未読なのですが『ぼくの兄の場合』は読了しました。一方を読んでいないのに語るなと言われそうですが……

 

実はこの二点、どちらも先の大戦をテーマにしている作品なのです。

ただ、そのアプローチはまるで異なります。

『ぼくの兄の場合』は戦争に行った兄と、その兄の残した日記を頼りに戦後、それを追体験する弟。戦争が身近でありつつも距離をおく弟の姿。カラッとしたものを感じます。

一方の『奥のほそ道』は泰緬鉄道の建設現場が舞台です。熱帯のジャングル、体にまとわりつくような湿度、捕虜の苛酷な状況。まさしく戦争という世界。

どちらも史実をベースにしつつもフィクションとして描かれています。「戦争を考えるフェア」と言うと人文書コーナーの専売特許のような雰囲気もありますが、こういう作品も混ぜてもよいかと思いますし、あるいはこういう作品を集め、文芸書コーナーで「戦争を読むフェア」をやってもよいのかも知れませんね。