誰が海文堂を潰したのか

神戸の海文堂書店さんが9月末で閉店するというニュース。書店営業をしていても、この話題が出ます。

あたしは、神戸地区の担当になってまだ3年程度なので、多くの人に比べれば海文堂のことを知っているうちにも入らない新参者です。それでも、昔懐かしく、いかにも本屋さんらしい本屋さんとして好きなお店でした。

神戸に行くんだけど、どこの書店を見てきたらいいですか、と聞かれれば、もちろんどの出版社も売上的にはジュンク堂書店なのでしょうけど、時間が許すなら元町の海文堂書店は見てきた方がいいよ、と答えるほどのお店です。これは別にあたしでなくとも、どの出版社の営業マンも同じではないでしょうか?

これが店舗を数多く持っているチェーン店の中の一つが閉店したというのであれば、これほどニュースにはならないでしょう。ましてや、多くの出版社、書店人からもエールを送られていた神戸を、関西を代表する書店の一つですから、なぜ、という気持ちがするのも当然ではないでしょうか?

確かに海文堂が店を構える元町の商店街は人通りも少なくなっていました。たいていは三宮のジュンク堂方面から歩いて向かうので、三宮の賑わいと比べると寂しい感は否めません。それでもあちこちからやってくる人でごった返している三宮に比べ、元町は地元の人が落ち着いて買い物を愉しんでいる商店街という印象もありましたし、何度も通った海文堂だって、いつ行ってもお客さんで賑わっていました。決して、閑古鳥が鳴いて、累積の赤字に呻吟して、という本屋ではなかったと思います。

発進力もあり、全国的に名を知られ、出版社にも指示されているにもかかわらず、100周年を前にして店をたたまなければならないなんて、この業界はどこまでお先真っ暗なのか……

と愚痴る前に、出版社の営業として、あたしには何ができたのだろうか、そう自問自答してしまいます。もし可能なら、閉店までにもう一度訪問したいところですが……

そして、改めて問いたいです。なぜ海文堂書店は閉店することになってしまったのか!