『君たちはどう生きるか』から何も学ばなかったみたい……

映画化もされるということで話題になっている『君たちはどう生きるか』ですが、現在は岩波文庫以外からも刊行されているし、漫画も出ているのですね。最近、書店店頭でよく見かけます。

 

それでもあたしにとっては馴染み深いのは岩波文庫版です。あたしも高校の頃に読みました。いや、正確に言うのであれば「読みました」ではなく「読まされた」です。

どういうことかと言いますと、あたしが高校へ入る前、入学の手続きを終えた後、高校からの指定で入学までに『君たちはどう生きるか』を読んで感想文を書いていかなければならなかったのです。感想文は入学式後のホームルームか、最初の国語(現代文?)の授業で提出させられたのではないかと思います。

そういう理由で読んだわけですが、どんな感想を持ったかと言えば、説教臭くてウンザリ、というものでした。もちろん、こういった作品が名作と呼ばれ、読み継がれていくんだな、ということは理解できましたが、なんか善人面したおじさんとか、正義感の塊を装いたいような主人公がどうも好きになれませんでした。

そのころ、既に小中学校でクラスやクラスメートに馴染めず、軽いいじめられっ子だったあたしは高校生活にもそれほどの期待を抱いておらず、韓非子とかマキャベリにのめり込んでいるような中学生(高校生?)でしたから、本書の世界は唾棄すべきものと感じられたものでした。

なによりも、お父さんに頼まれたのか知りませんが、叔父さんがうるさくて、うざったくて、とにかく煩わしかったのを覚えています。自分にはこんなうるさい叔父さんがいなくてよかったと、心底思ったものです。

が、因果は巡ると言うのでしょうか、ここまで聖人君子面はしていないつもりですが、妹のところの姪っ子、甥っ子に対しては、ややうるさい存在になっているような気がします。いろいろと本を送っては、「これを読め、あれを読め」と偉そうに、説教はしていませんが、なにかにつけて口を出しているような気がします。

ああ、これでは自分が高校生のころに嫌悪した、あの「叔父さん」と同じではないですか! これはいけませんね。この機会に、自戒をこめて……。