私的ドラマ評

先週や先々週で4月から始まったドラマのほとんどは終了しました。そこで、ちょっとした感想を縷々述べてみます。とはいえ、見ていたドラマしか批評できませんので、その点はあしからずご寛恕を。

まずは月曜日。TBS系の「確証」です。

個人的には、榮倉奈々は好きです。彼女の刑事ものは同じくTBS系の「最高の人生の終り方」以来ではないでしょうか? 今回の方が刑事として捜査をメインにしたドラマ展開でしたので楽しめました。内容としては一話完結、最終回に向けて大きな陰謀が仕込まれているということはなく、淡々と毎回進んで行きました。個人的には「ガリレオ」とか「謎解きはディナーの後で」などに比べ、謎解きというか、事件捜査という点でははるかに面白かったし、よくできていたと思います。まだまだ榮倉奈々は一人前とは言えませんので、パート2、パート3ができるのではないでしょうか?

続いては火曜日のフジテレビ系「鴨、京都へ行く。」と「幽かな彼女」です。

「京都へ」はありがちな旅館女将もので、ストーリーもこれまで数々作られた同種の作品と変わりありません。もう少し京都の老舗ならではのところが出てくるのかと、第一回、第二回あたりは期待させましたが、取り立てて京都が舞台でなくとも成立しそうな話になってしまったのは残念です。あるいは主人公がキャリア官僚と旅館を掛け持ちするなんて設定でもよかったのではないかと思いますが、やはりあまりにも現実的に無理がありそうで、結局は予想どおりの結末でした。

「幽かな」はこういう設定は面白いのですが、意外とあっさり香取慎吾はやる気のない先生から生徒思いの先生に変身してしまったし、前田敦子も嫌な性格がいとも簡単に払拭されてしまって、つまらなかったです。ドラマ自体は楽しめたので、そのあたりもう一工夫が欲しかったです。生徒役には数年後のドラマを担うであろう美少女たちが何人も出ていて、先物外的な興味で見た大人も多いのではないでしょうか?

次に金曜日の「35歳の高校生」です。これもストーリー自体は、これまでの学園モノでは先生がやっていた役回りを35歳で編集してきた高校生にやらせただけで、ストーリーは青春学園モノです。そこにスクールカーストを加味していましたが、その言葉が一人歩きしてしまい、ドラマの内容にまで活かせていたのかというと疑問です。この程度のクラス内格差なら以前のドラマでも描かれていたはずです。最大の謎であった米倉涼子がなぜ高校にやってきたのかも、ちょっと陳腐というか、物足りないというか、こんな理由だったの(?)という落胆もありました。とはいえ、このドラマも「幽かな彼女」と同様、クラスメート役の女子はじきにドラマで準主役などをやるようになる子がたくさん出ていましたね。既にCMやモデル、タレントとして活躍している子もいましたし、そういう楽しみは十分に味わえました。

深夜ドラマでは「クロユリ団地」です。映画の前段階をドラマにしたものです。いくつかのエピソードが描かれていましたが、最後の最後に「ミノルくん」の哀しい事件が明かされて、それじゃあ恨みたくもなるよな、という気にさせられます。しかし、実の母親が出てきても止められないとなると、ミノルくんの呪いはどうやったら防げるのでしょうか?

不定期に放送されたNHKの「大岡越前」は、NHKがここまでTBSのかつての「大岡越前」をパクるのかと思わせるほどの出来です。東山の越前は加藤剛と同じく清々しさを感じはまり役だと思いますが、その両親役はかつての片岡千恵蔵、加藤治子の方がはるかによかったですね。妻・雪絵の国仲涼子は、あたしが個人的にも大好きなので、とってもよかったですが……

もう一つ、連ドラではありませんが、つい先日フジテレビ系で放送された「幸せになる3つの買い物」は、どれも痛かったです。ですが、中山美穂主演のものはありきたりな内容で、こんな話どこかで見たな、という気がしました。ミポリンもさすがに老けましたね。大久保佳代子、小池栄子主演の二作品は、どちらもどうしてこんなに見栄を張るのか、ちょっと理解しづらいところもありましたが、痛々しさがなんとも言えない快感です。一昔前だったらこういうドラマはアラフォーではなく、アラサーの設定で作られていたのでしょうね。

最後に、TBS系の「空飛ぶ広報室」です。たぶん、一部には「自衛隊擁護ドラマだ」といった非難もあったのではないかと思います。確かに主人公の稲葉リカでなくとも、このドラマを見ていれば自衛隊は国民のために頑張ってくれている、という感想を抱いてしまうのはわかります。でも、そのあたりの機微というか難しさは折に触れ広報室長役の柴田恭兵さんが語っていましたね。自衛隊を広報するとはどういうことか。ただ、このドラマは、とりあえず自衛隊が軍隊か否か、意見な存在なのか否か、国防軍にすべきなのか否か、そういった議論は抜きにして、純粋に愉しむべきではないでしょうか? そしてドラマでは3・11ははっきりとは描写されていませんでしたが、やはり大震災はこのようなドラマで描くには、まだあまりにも大きすぎるテーマなのでしょうか? ですが、このドラマのポイントは何をおいてもガッキー、新垣結衣のかわいさではなかったでしょうか? 毎回毎回、本当にかわいかったです。