2008年8月 1日

書店の独立性とは?

「新文化」のサイトを改めて見てますと、洋販問題の続報の記事タイトルは「ブックオフ、「書店の独立性は確保したい」と支援検討を表明」となっています。

昨晩は何げなく眺めていましたが、よくよく今朝になって考えてみますと「書店の独立性」という言葉に引っかかりました。

こういう言い方を業界にいる人間がしてはいけないのかもしれませんが、かつては「版元は威張りくさっていて、勝手に本は送ってくる、返品はとらない、注文しても出してやっているという態度が見え見えだった」と語られていました。

つまり出版社と本屋とでは、完全に出版社が上、本屋が下という階級秩序が出来上がっていたわけです。読者に、お客さんに本を売っている本屋に対して「本を出してやる」という態度、出版社の人間としては理解不能です。

まあ、出版社なりに多少の弁明をするならば、どう見たってその書店の品揃えからして売れないような本を、注文するだけしておいて、一月くらいしたら「売れませんでしたから返品させてください」と言ってくる本屋さんとか、書評にも取り上げられて売行きが絶好調なのに、その肝心の本を返品してくる本屋さんに対しては「二度と出してやらないぞ!」という気持ちにならなくもないです。

でも、本心から言うと「お互い本を売ることでメシ喰っているんだから、もう少し本を売ることに努力しようよ」という気持ちであって、私個人としては本屋を見下すという気持ちは持っていないつもりです。

ただ、かつてはそういう出版社が多かったというのはよく聞く話で、今も直接的にではないけれど陰に陽にそういうプレッシャーをかけてくる出版社はあるみたいです。でも、それを言ったら、どの業界にもありそうですよね。

ということで、「書店の独立性」です。

あたしの勤務先の場合、毎月新刊に関しては事前に希望部数を書店に聞いて出品しています。大きい本屋だろうと事前の注文(依頼)が無ければ入荷してこないですし、小さい本屋さんでもきちんと注文をいただいていれば出荷しています。

そこには書店の規模による差別も区別も存在しません。平等です。

でも、書店を回っていると、大手の出版社などはそういった事前の注文をとっていないところが多いみたいなんです。

そういう場合はどうなるのか?

入荷するまで、一体何冊入ってくるのかわからない、ってことらしいです。

えーっ! ってな感じですよね。「うちはこのジャンルが強いから、100冊欲しい」と思っても、蓋を開けたら5冊だけだった、とか、その逆に数冊で十分だと思っていた本が20冊も入ってきた、なんてこともあるらしいです。

それでも入ってくるだけましな方で、小さい本屋さんですと全く入荷せず、お客さんに言われて初めてそんな本が出版されていたことを知るってことも多いようです。

そうなるとお客さんは、もちろん1週刊や2週刊待っても、馴染みのその書店で買ってくれる人もいるでしょうけど、ちゃんとその本が置いてある大型書店へ行ってしまうことも少なくないはずです。そして街の書店がまた一つ消えていく......

スタート時点でこういうハンディを背負いながら(もちろん書店にだってそれに対抗すべく奮闘している方が大勢いらっしゃいますが...)、書店の独立性と言われても、書店現場の方からするとどんな気分なんでしょう?

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