2008年6月 1日

自衛隊機は行けなくとも...

四川大地震、日本人観光客的視点では、九寨溝や都江堰、そして成都の三国志絡みの遺跡の被害が気になります。

 

もちろん被災された方々の状況、そしてそれ以上に今後のことも、中国政府にとっては頭の痛い問題ではないでしょうか?

 

このようなことを言っては不謹慎ではありますが、既に地震発生からの時間を考えますと、瓦礫の下から生存者が助け出される可能性というのは低くて、今後はもっぱら遺体の回収が主となるのではないでしょうか?

 

そうなりますと重点は生きている人、生き残った人、生き延びた人のことに移りますよね。もちろん道路が塞がれて孤立している集落を何とかしないとなりませんが、避難所での感染症防止、助け出された人のケガの治療、精神的ショックへのケア、そして毎日の生活。

 

場所によって、人によって、立場によって、今必要としているものも異なるのでしょうから、援助の手を差し伸べると言っても難しいでしょう。自然災害の先進国と言われる日本ですら、地震などの大規模災害の後には、雨の中露天にそのまま山積みされてずぶ濡れの毛布、配られることなくどんどん腐っていく食料といった問題が報道されるくらいですから、こういった、まさしく未曾有の被害に遭い、経験に乏しい中国ではなおさらでしょう。

 

しかし今回、いろいろ問題は指摘されているとは言え中国もずいぶん変わったものだと思います。残念ながら日本の自衛隊機を使っての援助物資の運搬は取りやめになりましたが、これはむしろあたしは時期尚早と思っていたので別に何とも思いません。

 

日本の援助隊についても中国国内ではかなり好意的な報道や声が目立つと言うことですが、一昔前、小泉首相の頃ならば「日本に助けてもらわなくても自力でできる」「日本人は苦しんでいる中国人を内心で笑っている」といった反日感情が吹き出していたのではないかと思います。

 

ほんのちょっとした両国関係の好転でここまで変わるとは、そこに両国政府の思惑があるとは言え、実際には草の根で日中交流に日々尽力している人々の努力と奮闘があったのだろうなあと思います。

 

今回の自衛隊機の件だって、中国人は「自衛」隊だなんて思ってなくて、正真正銘の日本「軍」だと思っているはずですから、それが援助物資を運んでいるとは言え、中国の上空を飛ぶのは、いくら友好ムードが出てきたからとは言え、まだ早いでしょ、と思います。

 

しかし、よーく考えてみますと、相当数の人が被害に遭っているわけで、そういう犠牲の上に日中友好が好転しているというのは、なんとも皮肉な気がしますね。

 

 

さてさて、地震については二次災害や復興、人々の暮らしなど、完全解決までかなり長い時間がかかりそうですが、チベット問題などあれだけ世界を騒がせた諸問題はどうなってしまうのでしょう?

 

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