蛇足
テレビを見ていて、たぶんクイズ番組だったと思うのですが、「蛇足」という言葉が出てきました。
まあ、ふつうには「余計な付け足し」という意味で使われる言葉ですよね。ですから会話などでも、「......であります。で、ちょっと蛇足ですが......」なんて使ったりしますよね。
この使いかを見ていると、「余計な付け足し」ではなく、「それほど大事ではないけど、ちょっと補足しておきたいこと」っていう感じじゃありません? 多くの場合、実生活ではそんなニュアンスで使われていると思います。
でも、この「蛇足」という言葉、もちろん中国古典が出店なんですが、そこでは蛇の絵を早く描いた者に褒美として酒を振る舞おう、という王様の言葉に、真っ先に仕上げた者が、他の連中は描くの遅くて時間にまだ余裕があるからついでに足も描いちゃえ、と描いたところ、次に描き挙げた者が「蛇に足なんかあるか、お前の絵は蛇じゃないから酒は飲めないよ」と言って下賜された酒を飲んじゃった、という話です。
つまり「蛇足」というのは「余計な」どころか、「付け足してはいけないもの」なんです。本来の意味では。
ですから、上記のように「......。で、蛇足ですが......」なんて言って話をつなぐのはやってはいけないことなんです。
というような説を、かつて何かの本で読みました。誰の本だったか覚えていません。高島俊男さんだったでしょうか、それとも駒田信二さんだったでしょうか。たぶん、そのあたりの方のエッセイだったと思うのですが、とにかくそういう文章を読んだことがあります。
それ以来、本でもテレビでも蛇足という言葉に触れると反射的に、このご高説を思い出してしまいます。
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