ケータイ小説がウケる理由
『ケータイ小説がウケる理由』を読みました。
少し前に、やはり新書で『なぜケータイ小説は売れるのか』を読んだのですが、同じように「ケータイ小説」をテーマにしても、ずいぶんと異なる本です。
今回読んだ方は、<文学性>とか<出版とケータイ小説>といった問題にはほとんど立ち入らず、もっぱらマーケティング的な方面からのアプローチを主としています。
ですので、「ケータイ小説」自体の分析も『売れるのか』に比べると文学的な面では浅いと感じてしまいますが、むしろ本書の場合、ケータイ小説はモバイルの特性を最大限に生かした新しいカミュにケーションの手段として着目している感じです。
いずれにせよ、出版社の人間としては両書で指摘されているように、年間の文芸書ランキングの過半を占め、百万部単位で売れた「ケータイ小説」という事実がある以上、これに向き合わなければならないのは確かでしょう。
マーケティング的な立場からは、いままで一番本屋に来なかった、本を買わなかった世代(=女子中高生)を本屋に向かわせた「ケータイ小説」ということなんでしょうけど、果たしてそこからどの程度の女子中高生が、「ケータイ小説」以外の本を買ってくれたかが気になります。
こちらとしては「ケータイ小説」を読んだ女子高生の1割か2割の人が、普通の本を読むような読者になってくれれば、と期待するしかありませんが、そのためにはそういう層へもっとアピールできる商品を作るしかないのかもしれませんし、もしアピールできると自信を持っている商品があるのであれば、書店と協力して販促のための工夫を凝らさないといけないんでしょうね?
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