広辞苑から思ふ
『広辞苑』の第6版が発売になりました。
知人に頼まれていたので、あたしも一冊購入しましたが、取次や書店では、既に品切れ気味のところもあるようです。初回入荷分は予約のお客様で売り切れで、次回は20日くらいになるとかっていうのがお店で聞いた話です。まあ、それなりの規模のお店は、十分に余裕をもって仕入れたでしょうから一冊もないなんてことはないのでしょうけど。
それにしても、同じ出版人として、そして紙の辞書を作っている者として、『広辞苑』がこれほどの人気というのは嬉しいニュースです。もちろん『広辞苑』だからというのもあるでしょう。売れてる売れてると言ったって、最盛期に比べれば初版からして何分の一だということもわかっています。
それでも、紙の辞書の長楽が言われて久しい出版界において、これだけ話題になり、それなりの結果もついてきているというのは心強いところです。
そういえば、今週参加した取次の新年会で、昨年の「日本の歴史」「文学全集」などこのところしっかりした本が復権している、そして今年は広辞苑です、という挨拶をしていた社長がいました。
確かにその通りで嬉しい流れではありますが、そんなに楽観的に言ってられないでしょ、という風にも思います。もちろん、この流れをもっと強く太いものにしていくというのは、出版界にいる者の責務でしょうから、出来るだけのことはしたいと思いますが、単純にしっかりしたもの、堅いものを出しても受け入れられるわけはないですよね。
団塊世代が定年を迎え、いっちょ在職中は時間もなくて読めなかった名作に手を伸ばすか、といった需要が高まっているのはわかりますが、団塊世代と呼ばれることを嫌う団塊世代ですから、そこはそれなりに手にとってもらう、買ってもらう工夫を施さないとなりませんね。
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