2007年12月17日

違う場合

映画原作である『エンジェル』は、あたしの勤務先からとランダムハウス講談社からと、二種類出ています。

ずいぶん前に出た本なので、著作権的には問題ないのですが、買う方(つまり読者)や売る方(つまり書店員)からすると、ちょっと面倒ですよね。

具体的に何が違うかというと、まずもちろん訳者が異なります。あっ、言い忘れてましたけど、『エンジェル』は翻訳小説ですので、厳密には「原作」と言ってよいものか......(←って、こういう細かいことにいちいち拘る人もいるんですよね)

で、内容的な違いですが、原作を変えて翻訳などできませんから、全然違うものになっているわけではありません。一番大きな違いは登場人物の設定です。

って、それってすんごい大きなことじゃない(?)と思われるかもしれませんが、確かにそうかもしれません。

何が異なるって、お兄さんか弟か、お姉さんか妹かってことです。

英語のbrotherやsisterって年齢の上下を明示しないじゃないですか。それであたしんところの本とランダムハウス講談社さんとこの本では、その設定が異なってしまっているんです。

小説として破綻していなければ、そして著者に確認をとれなければ(本作の場合原著は既に死亡)、どちらに訳しても構わないんじゃないかと思いますし、どう いう風に訳すかで訳者の力量とかセンスとかが試される(問われる)ものだと思います。軽々に優劣を断じることはできません。

さて、今回の作品、映画はランダムハウス版の設定で描かれています。映画を見て、ランダムハウス版を読み、なおかつ、あたしんところの本を読んで、どれが一番しっくりするか是非比較してみて欲しいものです。

ところで、この作品の場合は文芸作品ですので、この程度の違いは問題ないのかもしれませんが、推理小説などでは映画と本(小説)とで犯人が異なるとか、犯人は同じでも動機や犯罪の手段などが異なることがあるようです。

こういう場合、原作を売っている出版社としては困るのでしょうか? どうなんでしょうね?

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