2007年12月10日

専門家の意見が聞きたい

昨晩、9時から放送されていたNHKのスペシャルを見ました。「激流中国」で、中国とフランスの企業の合弁とその後のブランドの権利を巡る裁判騒ぎに関するドキュメンタリーでした。

中国の飲料メーカー「ワハハ」(←中国のスーパーで見たことあります!)とフランスのメーカー「ダノン」が合弁会社を設立したわけですが、その折、「ワハハ」という名称は、この合弁会社だけのブランドとする、という取り決めが交わされたらしいのですが、「ワハハ」側は合弁会社の製品以外、つまり自社独自の製品にも「ワハハ」ブランドを使っていたということでダノンが訴えた、という顛末です。

ワハハ側に言わせれば、ワハハは苦労して自分たちが育て上げたブランド名であり、合弁会社だけでしたか使えないという取り決めは国家の商標管理局に認可されていないので無効である、という主張です。

映像を見ていますと、どんなに愛国的でないと強弁しようが、ダノンの姿勢には国民やマスコミの愛国心に訴えかけて自分たちの主張を指示させようとする姿勢がはっきり伝わってきます。なにせ「ワハハは中華民族が作り上げた民族ブランドだ」と息巻いているわけですから、これでは愛国的と解釈されても仕方ないでしょう。

ただ、一方で自分たちが以前から親しんでいた製品や企業名が、いつの間にか外国の企業に駆逐されて無くなってしまっていることに寂しさを覚える感情も理解できます。消費者にとってよい製品、よい企業が残るんだからいいじゃない、と資本主義の論理で言われても、こういう問題はなかなか「はい、そうですね」と納得できないものでしょう。

ましてや中国はほんの一昔前までは西側先進色に国土を蹂躙され、分割され、奪われ、半ば植民地状態にあり、その屈辱の歴史を乗り越えて現在の繁栄を築いてきたわけですから、最近の一連の動きが「企業による経済的な侵略」「新たな植民地化」であると中国人が身構えてしまうのも無理のないことではないかとも思うのです。

そういう歴史的なことには踏み込まず、番組は赤馬でワハハとダノン両者の主張の紹介にとどまっていたのがやや残念です。ワハハとダノン、両者の言い分は完全に真っ向から対立しているので、こういった事案に詳しい専門家(弁護士とか)に論評してもらってもよいと思うのですが、そういう人も登場しませんでした。

この手の報道を耳にすると、「中国は市場経済のルールに従わない」「国際的な商慣習に無知だ」といった批判が多く聞こえてきがちですが、そういう感情的な諍いを回避するためにも、客観的な資料(契約書とか合意書など)に基づいて、専門家に判断してもらうようなコメント、論評が欲しかったです。

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