2007年8月23日

カラマーゾフ!

Yahoo!のトップページに載っているニュースに、今さらながら『なぜ今?「カラマーゾフの兄弟」』という見出しが出ていました。

記事自体は産経新聞からの引用のようですが、少し前には朝日新聞でも載っていたような記事です。こんだけ載るってことは光文社さん、裏で相当お金を使っているのでしょうか......って、穿ちすぎ?

それはそうと、この記事を読んでいくと光文社の方のコメントで

亀山氏の新訳がリズムと勢いがあって読みやすく、若いころに読んで挫折した団塊の世代が読み直しているとともに、巧みな仕掛けがちりばめられたミステリーとしてのおもしろさが若い人に受けている

とありました。前半はわかります。光文社の古典新訳シリーズは主として団塊世代が買っているというのは書店を回っていても聞きますから。

あたしが注目したのは後半です。若い人にもジワジワと浸透しているんですね。嬉しいことです。

昨今の古典のリヴァイバルや新訳のブーム、あたしんところの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』なんかがその嚆矢として紹介されることも多いんですが、結局、かつて若い頃に読んでいた大人たちが、この時期にまた改めて読み直しているというパターンが多いと聞きました。

つまり、売れてる、売れてるといっても新しい読者を開拓しているわけじゃあない、という言説です。

正直、売れている内の相当数は再読組だということは事実だと思います。でも、それでもこの業界からすれば少なくない数の若者が興味を示してくれている、手に取ってくれている、買ってくれている、読んでくれている、ということの方が大事だと思います。

確かにまだまだ少ないのかもしれません。でも世の中あげて読書好きになる必要もなければ、文芸作品ファンがそんなに大量に生み出される必要もありません。 むしろ爆発的に売れなくてもいいですから、ジワジワとこのブームが少しでも長い期間続いてくれればいいんじゃないかと思っています。

問題は、名作などある程度評価の定まったこれらの作品は復活(?)したようですが、ここから更に田の文芸作品へと、どうやって読者を誘うか、そこです。

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