2007年7月 9日

ナツイチ? ナツヒャク?

この夏も書店の店頭では「文庫 夏の百冊」が並んでいます。

文庫大手、4社くらいやってますよね? もっとでしょうか? それに加えて今年は「ナツイチ」なんてのも並んでいるようで......

書店で話をしていると、夏の百冊は「一番薄いのはどれですか?」と聞いてくる学生が、この数年は多いそうです。

せめて「一番おもしろいのは?」とか、「一番泣けるのは?」なんて、多少の先入観が入るとはいえ、そういう聞き方ならまだしも、「薄いのは?」なんて、情けなくて言葉も出ないそうです。

そりゃそうでしょ。薄い厚いなんて、自分で並んでいる文庫本を手に取ればわかるじゃない。それに文字組によっては薄くたって文字数は多い本、逆に厚いのに 実はすぐに読み終わっちゃう本ってのがあるんだから、本屋に来ているんだから、それくらい手にとって自分で考えなさいよ、と言いたくなる気持ち、よーくわ かります。


ところで、書店員の方や「夏の百冊」を出している出版社の方に聞いてみたいのですが、「夏の百冊」って、あたしが学生の頃には既にあったと思いますが、そ の頃は(つまり、夏の百冊を始めた当初は)、夏休みなんだからこの百冊全部読んでみなさい、というスタンスだったんじゃないかということです。

あたしは長らくそう思ってました。実際それを自分で挑戦したことはありません。本は人に言われなくても自分で選んで読んでましたから。でも、機会があったら一夏で百冊全部読んでみるかな、くらいの気持ちを持ったことがあるのは確かです。

そういう目で見ると、どれも薄くて読みやすい定番書ばかりですよね。百冊読むのも決してばかげた挑戦なんかじゃなく、かなり現実味のある試みだと思うのですが、時は流れ世は移り、百冊の中からよりにもよって一番薄いのを選んで買っていくような学生ばかりになるとは......

これでは、百冊をやめて「ナツイチ」になるのもわかります。

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