2007年3月14日

やっぱりない!

出張の折に買って読んていた本に『処女懐胎』という本があります。つい最近の中公新書です。
 
近々、あたしの勤務先から『フェルメールの受胎告知』というタイトルの本が出るのと、東京国立博物館でダ・ヴィンチの「受胎告知」が本邦初公開ということで注目を浴びそうなので、ふと思い立って買ってみたわけです。
 
内容はわかりやすかったです。少なくともこの著者の前著『マグダラのマリア』に比べると格段に面白かったです。『マグダラのマリア』は折からの小説・映画『ダ・ヴィンチ・コード』の影響でずいぶんと書店にも並んでいましたが、この本、実在のマグダラのマリアという人を追った本ではなく、あくまで後世における「マグダラのマリア像の変遷」を追った本だったのです。たぶん、マグダラのマリアって実際のところどんな人だったの(?)という興味から読み始めた人にはつまらなかったというか、期待はずれだったのではないかと思います。
 
それに比べると本書は、タイトルこそ「処女懐胎」ですが、つまりはキリストの母、父(養父?)、母の母(母方の祖母)の三者が、歴史上どのように絵画に描かれてきたかを豊富な図版でたどったものです。
 
キリスト教にとってかなり重要なこの三人ですが、必ずしも常に主役として絵画に描かれてきたわけでもなければ、宗教的な意味合いで扱いが変わっただけではなく、時の政治情勢に左右されていたりもしたというところが新鮮でした。
 
さて、この本を読んでいて、何冊もあたしの勤務先の本が紹介されているんですよね。でも、ほとんどが品切れ、絶版。美術モノって、そんなに売れるものじゃないのでたくさん刷れるわけではないので、重版も採算的に難しいですが、こうもないんじゃ、せっかく参考文献に挙げてもらっても申し訳なくて……。
 
こういうことってしばしばあります。ある本を読んでいて、参考文献にあたしんところの本が載っていて、「そんな本出してたの?」と初めて知ることもしょっちゅうなんです、情けないことに。
 

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