2007年1月23日

悩ましい重版

昨年出した『キケロ』が朝日の書評に載りました。

この本、出てからじきに読売で書評が出て、昨年暮れは結構売れていたんです。その調子で今もぽつぽつと客注が入ります。5000円以上もする本ですが、堅調な売れ行きなんです。

しかし朝日の書評が出た時点でちょうど品切になってしまいました。もちろん重版していますが、こういう本の場合、重版のタイミングが難しいです。

このところ書評に出たからといって売れるとは限らないことがしばしばあり、書評に出るぞ、即重版だ、という流れにはなってないんです。ましてやこんな高価 な本、重版のタイミングってのが難しいです。朝日に出るのがわかるのは水曜日ですから、たとえその時点で重版を決めたとしても日曜日の書評掲載に間に合う わけはないんですが、お客様をできるだけ待たせずに届けたいと思えば、やはり重版決定のタイミングってのが難しいんですよね。

そもそも最近は巨大書店が多くなってますので、刊行時の配本数が増える傾向にあるんです。大きな書店だとそれなりの分量を並べてもらわないと目立たないから、仕方の内面もありますが、それでいいんだろうかとしばしば思います。

でも、たくさん積んでみたって売れるってわけじゃあないわけで、そうなると市中在庫(本屋さんに置いてある数)は相当な分量になっているのに、出版社では在庫切れってこともしょっちゅうです。このあたりは出版流通の問題もあるんでしょうけどね。

市中在庫は、いづれ返品として出版社に戻ってくる可能性が大きいわけでして、そうなると出版社で在庫切れになったからといって重版してしまうと、重版が出 来てきた頃に本屋からの返品も始まって、こんどは出版社が大量の在庫を抱えてしまう、という事態になってしまいます。最悪、重版した分がまるまる余る(残 る)なんてことも......(涙)。

となると、最初の発売時に、むやみやたらと配本しないで、ある程度は出版社に在庫として残しておく必要があると思います。でも、この業界、出版社が取次に 出荷した冊数で売上金額が決まるので、出版社としては売り上げ減なんて事態を避けたいので、とにかく大量に取次に送り込もうとする悪循環に陥っているん じゃないかと......(爆)。

この宿痾、悪弊、どうしたら断ち切れるのでしょう?

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