すぐそばにある異郷
ある本で、東京(江戸)の人間にとって小田原までが近場(地元)で、熱海から先が異郷であるといったような趣旨を読んだ記憶があります。
何が言いたいのかと言えば、東京を出て東海道線の駅名を見ていくと、新橋、品川、川崎、横浜、大船、藤沢、小田原と発音が平板なのに、熱海は平板ではなくなる、つまり下がり調子に読むという発音上の違いがあるというのです。
どういう脈絡の中でこういう話になったのかというと、最近の若者の平板な話し方が発端です。最近の若者が、芸能人の名前などを、ファンであればあるほど平板に発音しているということから始まって、それは平板に読むことによって仲間意識、その人(対象)とより近しい関係にあるということを示しているんだとか。
そこで例に挙がったのが、東海道線の駅名。つまり東京の人にとっては小田原までが地元、身近な場所という潜在的な意識があることを、発音の仕方が示しているらしいのです。
確かにそんな面てありますよね。全面的に出はないですけど、この話、意外と説得力があるなあ、なんて思いながら、あたしの脳みそにインプットされました。
ところで、なんでこんなことを書いているかというと、いま大人気の「エビちゃん」の発音で悩んだからです。(←そんなことで悩むな!)
どうも、エビちゃん好きな女の子たちは、この「エビちゃん」と平板に読んでいるようなんです。平板に読むとかえって尻上がりなイントネーションに聞こえますが、どうもそうらしいのです。あたしは下がり調子に読んでいたので、まだまだ疎遠なんだなあと自覚した次第。(←当たり前?)
それにしても、こういう発音、イントネーションのことって言葉では(文字では)表わしにくいですね。あたしが発音している「エビちゃん」ってどう説明したらいいんでしょう、と思っていたら、もとへ戻って上述の東海道線の駅名からの類推で、山手線の駅名「田町」がそれに近いかなと思い当たりました。(と言っても、このブログを読んでいる皆さんが「田町」をどう発音しているかわからないので、これもいい加減な喩えですけど…)
で、気づいたんです。
あれっ、田町って山手線の駅であって東海道線の駅じゃあないけど、上の理屈から言えば東京人の地元ですよね、それなのになんで平板に読まないんだろうって。
田町って東京駅からもあんなに近いのに異郷なんでしょうか? そういう目で(耳で?)山手線の駅名を一つ一つ発音してみると、いくつか非「平板」な駅名があるんですね。それも漠たる印象では地味な駅に多そうな……失礼!
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