2006年10月30日

初恋……

光文社の古典新訳文庫。なかなか好評・好調のようですね。かく言うあたしも一冊購入し読了しました。

トゥルゲーネフの『初恋』です。

昔、岩波文庫で読みました。あらすじは薄ぼんやりとしか覚えていなかったのですが、読み始めてじきに、「ああ、そうだ、お父さんが恋敵(?)だったんだ」と思い出しました。

改めて読んでみると、思い焦がれる女の子に対する、煮え切らない態度、矛盾する言動など、どれも身に覚えがあるような無いような……。

ただ、思いのほか、主人公の父親とヒロインとの関係が掘り下げられていない、というかあっさりしているような感じがしましたし、彼女の恋愛の相手が自分の父親だと知り、身を引いた(気持ちが萎えた?)後のストーリー展開は面白味に欠ける気がします。

相手がお父さんだからなのかもしれませんが、やはり小説としてはもう一波乱も二波乱もあった方が、なんて思ってしまうのですが、実はこのように淡々と過ぎていってしまうのが、実際の恋なのではないかと思います。

こういう作品を四十を目前にした人間が読んで、胸が疼いているようでは、ピュアを通り越してむしろ気持ち悪いと思われるかもしれませんが、やはり昔を懐かしく思い出してしまいますね。

あたしの初恋っていつだったのかしら? あまり恋焦がれるって体験がないんですが、中学一年の時に委員会活動で一緒だった三年生の先輩に憧れていた想い出はあります。その先輩も、あたしのことをよく可愛がってくれましたが、その時点では恋とかそんな感情は自覚していませんでしたし、取り立てて好みのタイプってわけではなかったのは、当時も自覚していました。気の合う先輩ってくらいのものです。

でも、今思うと、やはりあれが初恋だったのでしょうか? 一年生と三年生ですから、正味数ヶ月での別れとなり、先輩が卒業後、どの高校へ進学したのかは全く知りません。卒業式の日、ボロボロ泣きながら先輩が「元気でね」と声をかけてくれたのが昨日のことのように思い出されます。

脱線しますが、あたしってクラスメートがどの高校へ(高校時代であればどの大学へ)進学したのかってことに全く興味がなくて、たまたま教えてもらった、話題に上ったから知ったという以外、ほぼクラスメート全員の進路を知りません(汗)。

その後、中学時代は、何人か仲良しの女の子ってのもいましたが、恋という感情は芽生えませんでした。高校は二年になる時にだけクラス替えがある学校だったのですが、一年の終わり頃に、他のクラスの女の子でカワイイ子だなと思える子を知りました。

そして二年になって新しいクラスになりましたが、なんとその子が同じクラスでした。こういう偶然ってあるんだな、と思いました。ただ、いざ同じクラスになってしまうと、やはり毎日顔を合わせるわけですし、話もしますから、ときめきなんてものはわきません。容姿は確かにあたし好みなんですが、だからといってそれ以上に引かれるものもなかったのは確かです(←別に性格が悪かったなんてことはありません。性格も明るいいい子でした)。

でも、あたしは二年・三年を一緒に過ごしたクラスの中に、別に大好きな子ができてしまいました。結局その子のことを引きずって今に至っているというのが嘘偽らざる気持ちです。あたしはタバコを吸う人が嫌いなので、どんなに好きな子でもタバコを吸っているというだけで恋愛対象から除外してしまいますが、その子だけは特例、例外なんです。

彼女だけは、卒業後どの大学へ進学したか知っていました。だからといって、何かアクションを起こしたわけではありませんし、卒業後一回も逢ってもいなければ、手紙のやりとりもありません。今ごろは結婚して幸せな家庭を築いているのだと思います。

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