2006年10月11日

こういう素敵な人もいるのね!

あたしの勤務先、世間的には海外文学の翻訳出版というイメージが強いのでしょうか? あるいは哲学・思想の全集なんかを出している出版社でしょうか? それとも世界のいろんな言葉の参考書を出している出版社でしょうか?

どれも正解ですし、これ以外のイメージ、先入観もあると思います。

ところが、世間的にはあまり知られていないのかもしれませんが、大学向けの第二外国語の教科書の製作・出版というのも、かなり大きな柱の一つなんです。つまりフランス語とかドイツ語とか中国語の授業で使うテキストです。

教科書は、ある先生が採用してくださると、数十冊から時には数百冊単位の注文数になりますので、かなり大事な市場です。

この時、多くの先生は自分用に一冊そのテキストをください、と言ってくることがあります。いわゆる献本というやつです。

あたし敵には、そのテキストに決めたのだから、当然既に持っているんだろうと思うのですが、別の先生が決めたから自分は一切テキストの決定にタッチしてなくて、そのテキストは持っていない、という方も確かに入るのでしょう。

でも、中には複数の大学で教えていて、いちいち持って歩くのが面倒なので各大学のロッカーに置いておきたいから、あと●冊ください、なんて言ってくる方もいます。

教科書とかって出版者に言えばタダで送ってくるという悪い慣習を作ってしまったのには、あたしたち出版社にも責任があるわけですから、もちろん先生だけを責めるなんてつもりはありません。

それでも先日、やはり教科書を贈ってほしいと言ってきた先生からの電話があったのですが、その先生曰く、最近引越しをして、その時どの箱にしまったのかわからなくなっちゃって、もう授業も始まるので荷物を整理している時間もないので、一冊お願いします、というものでした。

ただ既に一冊はもらっているので、教科書が出てこないのは自分の責任だから、きちんとお金を払って買います、と申し出られたのです。

こういう素敵な先生も、意外と(失礼!)いらっしゃるもので、こういう申し出の電話もしばしば受けます。それでも「タダで送ってくれ」(もちろんタダでとは言いませんが……)という依頼の中で一服の清涼剤になるものです。

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