2006年10月15日

本気? それとも勘違い?

あたしは営業部に遷ってまだ3年ちょっとなので、それ以前から多かったのかどうか知りませんが、本を送ってくれという読者からの電話が最近は多いような気がします。

基本的に、営業部にかかってくる電話のほとんどは書店や取次からの注文、問い合わせの電話で、時々は熱心な読者から、発売日の確認とか「こういう本出てませんでしたか?」といった質問の電話があります。

ただ最近は、あたしの印象では、まったく普通の読者の方から「おたくで出している●●という本を探しているんですけど、近所の本屋さんにないから送ってください」という電話が多くなっているような気がするのです。

本って本屋さんで買うもので、直接出版社から買うものじゃないってのは常識だと思うのですが、どうしてこういう電話が増えたのでしょうか? 確かに出版社 のホームページから本が買えるようになったりしてますけど、あれはほとんどの場合、ブックサービスなど宅配形態をとる本屋さん(←実際に店舗を構えている わけではないんですが)を利用しているのであって、出版社が直接読者に本を売っているのではないんですけど、そのあたりが理解されていないのでは、と思い ます。

もちろん、その出版社の著者なんかですと、担当編集者のところに電話してきて注文(購入)する人もいますが、それはつまり「著者だから」という特殊な事情 (つながり)があるわけで、あくまで特例なわけでして、一般の方にもそういうサービスをしているわけではありませんし......。


こういう現象が増えたのは、ネットショッピングが盛んになり、たいていは一両日で商品が届くようになったにもかかわらず、街の本屋さんで本を注文すると1週間から2週間もかかるという事情が背景にあるんだと思います。

でも、ネットだって在庫切れのものはメーカーに注文するので、それなりに時間がかかることもありますし、逆に本屋さんでの注文だって早ければ数日で届くこともあるんですよね。(チェーン展開しているところだと、他店から調達して翌日にはお届けなんてやってますし......)

それでも「ネットは早い」というイメージが出来上がってしまっているのか、街の本屋さんは遅いと思われていますよね(涙)。

あたしの勤務先でも、こういった電話には、原則として、まずは近所の本屋さんに注文してもらうように伝え、ついでブックサービスなどを利用してもらうことをお願いしています。

ただ時々、何を勘違いしているのか「何冊も買うんだから直接送れ」と、さも自分が特別な人間であるかのように高飛車に言ってくる人ってのもいます。別に一 冊でも十冊でもお客様はお客様ですし、たとえば十冊以上買うなら直接送ってあげるなんてことはしていないんですけど......。

所詮サービス業、こちらは売る側、相手は買う側という絶対的な上下関係があるので、あまり無碍な対応もできませんが、こういう方ってのは他の出版社やメーカーに対しても同じようなことをしているのでしょうか?


こういう居丈高な態度ってわけではないですが、質問の電話をしてきても要領を得ない人ってのも困ります。つまり、何が聞きたいのか知りたいのか、それがこちらに伝わらない人ってことです。

やりとりをして何とか先方の意図が確認できればいいのですが、こちらがいくら表現方法を変えて相手の意図を確認しようとしても、自分の言い方に固執してしまって、こちらの言うことに耳を貸さない方ってのも意外と多いものです。

こういう電話を受けると思い出すのは、かつてPC雑誌で読んだ、パソコンメーカーのユーザーサポートの窓口の話です。こちらの質問に適切に答えてもらうには、サポート係の人に理解してもらえるように説明する技術が電話をする側にも必要だと書いてありました。

当時はWindows95などの発売によって、初めてパソコンを使うようになった人がそこらじゅうにいて、基本的な使い方からして不案内な人が大勢出現し、メーカーのサポート電話がパンクしてましたから、PC雑誌でのこういった特集記事もわかります。

それに比べると出版社の営業部なんて、かかってくる電話の本数にしてもマシな方ですが、一つ感じることは、自分で十分に調べもしないで、なんでも人に聞く という風潮が広がっているなあ、ということです。インターネットも一般的になり、かなりの程度までネットで(つまり自力で)調べられるようになっているに もかかわらず、最初から人を頼っている人が多くなったのも最近の傾向ではないでしょうか?

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