2006年10月 8日

坪数の感覚

出版業界紙「新文化」のサイトにも書いてありますが、くまざわ書店がこのところ出店ラッシュです。

この記事にもありますが、書店の大きさを表わすのに「●●坪」という言い方をよくします。別に書店じゃなくたって土地や敷地の広さを表わすには、この「坪」という言い方は、日本の伝統的な面積単位として今でも現役だと思います。

でも、やっぱりこの言い方、若い人にはピンと来ないのか、最近のビルや商業施設などは「●●平方メートル」なんて言い方が多くなってきたように感じますが、気のせいでしょうか?

それと「坪」よりもよっぽどわかりにくいのが「東京ドーム●個分」という喩え。これで具体的にイメージできる人ってすごいと思います。(なんとなく漠然としたイメージなら、辛うじて想像できなくもないですけど......)

で、書店の坪数なんですが、業界では「最近は数百坪クラスの書店もざらになってきて、1000坪超えるのも増えてきたよね。500坪くらいじゃ、広いって感じがしないよね」なんて会話が最近はよく聞かれます。

あたしも一応、業界人なんですけど、あたし、この会話についていけないんです(涙)。知識として「●●書店の●●店は坪数800坪」とかっていうのはありますが、具体的に広さをイメージできないんです。

もちろん「●●書店の●●店」に行ったことがあって知っていれば、「ああ、あの広さが800坪なのか」って把握することはできますが、しばしば業界人が言う「500坪クラスの書店だと、こくらいの品揃え」っていう感覚がないんですよ(T_T)。

ですから、自分がふだん行っている書店について、誰かから「●●書店は何坪くらい?」と聞かれても「さあ、けっこう広いですよ」としか答えられません。せ いぜい「●●書店の●●店と同じくらいですね」なんて言い方が関の山です。(こういう感覚をお持ちの営業マンの方って尊敬しちゃいます。「絶対音感」なら ぬ「絶対坪感」とでも言うのでしょうか?)

たぶん、今のような超巨大書店などなく、あっても全国に数軒だった時代、棚の大きさも書店によってそれほどの違いはなく、何坪なら棚は何本並んでいる、一 本の棚におよそ何冊入るから、●●坪なら合計●●万冊の品揃え、という出版社・取次・書店みんなの共通理解ってものが存在したんだと思います。

最大公約数として、このような理解、感覚は今でも有効だと思いますが、あたしみたいに既にこの感覚から外れてしまっている業界人も存在するように、徐々に廃れてしまうんじゃないかという気もします。

自己弁護になってしまいますが、最近の書店って、棚の高さも店(書店チェーン?)によって異なりますし、高さが違えば収容力にも差が出ますよね。それに何 より、通路の広さが店によってずいぶん異なります。広々としていて車椅子が二台すれ違えるほどの通路の店もあれば、人一人が通るのがやっとの狭い通路の書 店もあり、これでは坪数が同じでも置いてある本の量に、相当な差が出来ているんじゃないかと思います。

それでも、やっぱり坪数というのは書店の規模を表わすのに、まだしばらくは有効な物差しとして機能し続けるのでしょうね。

コメントする